2010年2月アーカイブ

■皆さん、こんにちは。

 しばらく発行を怠っておりました。申し訳ありません。 

 今日は「立場の弱い人を見下すこと」についてお話しします。
 
 
■昔、ある訪問先の職場でこんな光景を見たことがあります。

 工事の発注担当である入社2年目の若造が、その工事の請負先の

 担当部長を相手にしている場面です。

 どうやら工事の期限が守れないことで議論しているようでした。
 
■50歳を過ぎるであろうと思われる上品な部長がその若造に頭を
 ペコペコと下げて平謝りをしていました。

 「本当に申し訳ございません。追加発注をいただいた材料の納品
  が遅れておりまして、どうしても完成が一週間遅れます。どう
  かお許し下さい」

 その話を聞くやいなや、若造は言葉を荒げて

 「お前のところの会社は、1週間前に注文した材料も手配できな
  いのか。そんな会社なら今後は発注先をかえる」

 「それに、あんたいい年をしてまだ部長のままか。あんたの能力
  に問題があるな。家族もよくがまんしとるな」

■この若造は、一流企業の工事発注部署に所属していました。

 入社2年目なんかでは、ろくに仕事もできないはずです。

 しかし、大企業や、仕事の発注側にいると、ろくに仕事もでき
 
 ないうちからなんとなく偉くなったような錯覚に陥ります。

 自分の父親のような人間でも、たまたま下請けであるいう理由
 
 で、チヤホヤしてくれるからです。

■この若造も、入社1年目のときには、自分よりはるかに年上で、

 しかも仕事のできそうな請負先の部長に持ち上げられると、違

 和感があったに違いありません。

 ところが、1年も経つとこの状況に慣れてしまう。

 会社の立場が強いだけなのに、自分が偉いと勘違いしてしまう
 
 のです。

 そして、上の発言のように相手の人格まで傷つけてしまうので

 す。

■この傾向は、国のエリートにも発生しています。

 国家公務員のⅠ種に合格したような若者は、数年もすると、経

 験を積ませるという名目の元に地方に出向させられます。

 地方での地位は、課長クラスの場合もあります。

 当然、地方では、「数年しかいらっしゃらないから、何事もな
 
 く帰っていただこう」ということになります。

■ですから、年配の部下も彼のことをチヤホヤするだけで、本気

 で仕事を覚えてもらおうとは思いません。

 ここで、また若造は自分は偉いと勘違いしてしまいます。

 そして、目の前で愛想笑いを浮かべる自分の親よりも年配の人
 
 を見下してしまいます。

 おまけに、この見下した気分は、必ず相手に伝わってしまいま

 す。


■さて、

□□□  今日の「ちょっと一言」です。  □□□

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【 立場が自分を持ち上げていることを忘れるな 】
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■このことを経験させるには、本当は、立場を逆にした職務に着か

 せることが一番なのです。

 例えば、先の国のエリートの出向であれば、市民相談係の窓口担
 
 当の平にすることです。

 そうすれば市民の皆様から直接、ご意見を聞き、また苦情の処理

 をして、立場の弱い人を経験できるからです。

■しかし、実際には、企業にしてもお役所にしても、こんなことは

 できません。

 そうであれば、少なくとも、若者は、「最初にチヤホヤされたと
 
 きの照れや違和感を持ち続ける努力をしなければ、イヤな人間に

 なってしまう」ことを心底理解することが必要です。

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