「ちょっと一言」こころの栄養 バックナンバー: 2011年1月アーカイブ

■皆さん、こんにちは。
 今日は、"現場第一主義"についてお話しします。

■新たに就任した社長さんが当社の方針は"現場第一主義だ"と宣言
 されることがあります。

■ところが、実際にはこれがうまくいかないのも事実です。
 こんなことがありました。

■あるとき、株主総会で新たに承認されたある会社の社長が "現場
 第一主義"を掲げました。

 そして、現場を自ら見て歩くことにし、秘書に視察計画を作らせる
 ことにしました。

■やがて、秘書は、社長の視察計画を作成して、その計画を各担当部
 長に知らせ、自分の担当部の現場視察のときには、社長に同行する
 ように指示しました。

■それを、知った部長は、あわてて自分の部下の各課長に指示を出し
 ました。
 
 「社長視察がある。見苦しいところがないように、全て整理整頓し
 なさい」

 「『社長が来れた時には、どんな質問がきても、全て問題ありませ
 ん』と答えなさい」
 
■ただ一人の課長を除いて、全ての課長は、部下に指示を出しました。

 「社長視察がある。現場をすぐに整理整頓しなさい」

 ある現場の長はこう言いました。

 「課長、お言葉ですが、進行中の現場を片付けると、また、仕事を
 再開するのに非常なロスになります。これでは現場は困ります」

 しかし、その課長はこう答えました。

 「社長が現場第一主義を掲げて、現場を視察される。社長に醜い所
 を見せる訳にはいかない、我慢してくれ」

 それを聞いた現場の長は、しぶしぶ現場を整理整頓しました。

■だだ、一人、ある課長は、部長からの指示を無視しました。
 
 部長からの指示に「わかりました」
 
 とだけ答え、一切自分の部下に現場の整理整頓や社長視察のことは
 伝えませんでした。

■社長視察当日がやってきました。
 
 大半の現場では、何も問題なく、社長視察が終わっていきました。

■そして、ついに、一切部下に指示をしなかった課長の現場に社長が
 やってきました。

 その現場には、工事用の機械が所せましと置かれ、今にも重機に当
 たりそうな危険な状態で作業員は仕事をしていました。

 もちろん、作業員は、社長視察のことなど知らずに、黙々と仕事を
 しています。

■これを見た社長は驚き、そばにいた部長に尋ねました。

 「他の現場と違い、ここの現場はなぜこんなに危険な状態で社員に
 作業をさせているのですか」

■あせった部長が思わず答えました。

 「担当課長が、社長視察のことを現場に伝えなかったからです。申
 し訳ありません」??


■さて、

□□□  今日の「ちょっと一言」です。  □□□

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 【 予告なしに一人で現場へ行かなければ本当の現場は分からない 】
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■"会社の幹部の持つ情報は単色になりがちで、本来の天然色の情報
 が上に上がってくる間にアク抜きされてしまう"と、土光敏夫さん
 もおっしゃっています。

■"そんな単色情報に基づいて、間違った判断をしたら大変なので、
 単色情報を天然色情報にもどすためには、自らの足で現場を歩き、
 自らの目で現場を見ることだ。現場の空気を味わい、働く人々の感
 覚に直に触れることによって、抽象化された情報は、急に具体性を
 帯びて生き生きとしてくる"ともおっしゃっています。

■これは、正論なのですが、生の現場を見られると困る人間が多くい
 るのも事実です。

 現場が長かった私の経験からも、水戸黄門のように誰にも知らせず
 にお忍びで現場に行くしか、本当の現場は分からないような気がし
 ます。

 

 

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