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「ちょっと一言」こころの栄養
第1号 自分の行動は自利利他に照らしてみれば

■これが創刊号です。
私、岩崎吉男が毎回「ちょっと一言」、皆様にこころの栄養をお届けします。
■念願の脱サラからはや4年が経ちました。決して贅沢な生活ではありせん。部下もなく、組織にも属さず、世間から取り残されたような気持ちになったこともあります。
でも、会社に属せば、会社の規模以上のことはできません。
自分でやれば最初は一人でも、無限に大きく伸ばせる可能性がある。
人は生まれて来るときには誰も一人ぼっち。
子供のように、いつか大きくなることを夢見る楽しみを選びました。
■自己紹介は、またにして今日の「ちょっと一言」をどうぞ。
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【 自分の行動は自利利他に照らしてみれば 】
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■自利利他は仏教用語だそうですが、「自分のためになって人のために
もなる」という意味でしようか。
私は、サラリーマン時代によく自分の行動が正しいかどうか、検証す
るときにこれを使っていました。
自分を捨てて他人のためだけに何かをする。これは理想ですが、私の
ような凡人には、うそに思えてとうていできません。
自分のためだけに人を犠牲にする。これは世間が許しません。
■そこで、私がいつも自分の行動が正しいかどうか検証するときに使っ
ていたのは、「自利利他かどうか」でした。
少なくとも、自分のためだけではないことをこれで確認していました。
自分のためになって、人のためになる。
無理がなく、すばらしいことではないでしょうか。
皆さんもぜひ実行してみてください。
第2号 他人はコントールできないが、自分はコントールできる

■第2号です。(創刊号は、バックナンバーにあります)
私、岩崎吉男が毎回「ちょっと一言」、皆様にこころの栄養をお届け
します。
■先日、家内に用事があってリビングをのぞくと、家内は友達と
電話で話をしていました。
私は、すぐ終わるだろうと待っていたのですが、なかなか電話が
終わる気配がありません。
そのうちに、私はイライラしてきて、「人が待っているのにええ
かげんにせいよ」と腹がたってきました。
やがて電話が終わり、妻に用件を話して、ついでに
「長い電話やったな。イライラしたわ」
といやみをいうと
「私はイライラしてないよ。あんたが勝手にイライラしたんや」
と言われてしまいました。
そうですね。妻にイライラする理由はありません。
■今日の「ちょっと一言」をどうぞ。
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【 他人はコントールできないが、自分はコントールできる 】
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■よく、「あいつは俺の言うことをきいてくれない」と嘆く人がいます
よね。
でも冷静に考えれば自分がその気にならないのに、相手の言うことを
きくことってあるのでしょうか。
■相手と立場を置き換えて考えてみてください。
自分の意思なくして行動することはないと思います。
催眠術にかかっていれば別ですが。
■いや、「あいつはいつも俺の言うことをきくよ」と思っている方も
いますよね。
でも、それは、相手があなたの言うことを理解して自分で納得した
結果だと思いませんか。
■そうです。相手は自分の意思で行動したのです。
催眠術にでもかけない限り、他人をコントロールすることはできま
せん。これは事実です。
■ところが、他人をコントロールできると錯覚する。
そこで、不満がでてくるのです。
でも、自分のことは間違いなくコントロールできます。
唯一コントールできるのは自分だけなのです。
■他人の行動は、自分の考え方次第でどのようにもとれます。
私も「妻は、私が急いでいることは知らんわな」と思うことができ
れば、イライラせずに待つことができたのでしょうね。
自分をコントールすれば、今起こっている状況が変わるのです。
相手のことを嘆く前に自分をコントロールする訓練をしましょう。
第3号 自分がこれ以上伸びないと思うから、人に教えない

■第3号です。
私がサラリーマン時代にこんなことがありました。
私は、幸いにも大学をでていましたので、若輩の身でありながら、現
場担当の係長になりました。
その現場には、定年前の熟練工が数人いました。
■あるとき、その現場の新入社員と話す機会があり、いろいろと話をし
ていると、「先輩が仕事を教えてくれない。」という事実が分かりま
した。
■そこで、私は現場に出向き、熟練の先輩に「後輩に仕事を教えてほし
い」と頼みました。
すると、返ってきた答えは「何で、俺が苦労して得たものを教えなあ
かんのや。」でした。
■よくある話です。
私はそのとき先輩にいいました。
「先輩が努力を続ける限り、教えたからといって追い越されることは
ないはずです。スタート地点が違うんですから。」
「まさか先輩は、今のところに立ち止まっているつもりではないです
よね。」
「どうか、若者を育ててやってください。」
と。
■今日の「ちょっと一言」をどうぞ。
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【 自分がこれ以上伸びないと思うから、人に教えない 】
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■人に教えるということは、自分を伸ばすためにもいいことなのです。
でも、自分がこれ以上伸びないと思っている人は、他人に仕事を教
えません。
教えると、自分が追い越されると思うからです。
■他人に物事を教えようとすると、一度自分の知っていることをまと
め直さなければなりません。
全て完全に理解できてこそ、人に教えることができるからです。
■「君の得意分野だから皆に教えてやってほしい」と講義を頼まれた
ことのある人は分かると思いますが、必ず自分の知識を再確認して、
完全に理解できていないことは、もう一度勉強します。
■このことだけでも、以前より伸びているのです。
そして、相手は今から、教えられたことを吸収していくのです。
努力を続ける限り、自分はもっと先に進むのですから、追い越され
ることはありません。
■おまけに、若い人の役にたちます。
■でも、現状で満足している人はやがて、追い越されます。
ですからそのような人は、他人に教えません。
人に教えるということは、自分を伸ばすエネルギーなのです。
第4号 とことん相手の話を聞き続ける

■過去に交通機関の現場で管理職をしていたことがあります。
今日はそのときのお話です。
■ある夏の日に部下がお客様を連れて事務所に入ってきました。
そのお客さまは部屋に入ってくるなり、大きな声で怒鳴り散らされて
いました。
私も一緒に同席して、応接セットでお話を伺いました。
そのお客様は、「車内の冷房が効いていない。」「何回も御社に忠告
しているが、一向に改善されない。」ということでたいそうご立腹の
様子でした。
■私が同席するなり、そのことをおっしゃられました。
部下が「他のお客様もいらっしゃることなので、お客さまお一人の
ご意見だけを聞くことはできません。」
と説明するのですが、
■火に油を注ぐ結果になり、そのお客さまはますますエスカレートして
冷房の他にもいたらぬ点を挙げて、大声でわめき散らされました。
そのときの部下の言っていることは、正しいのですが、相手の感情を
害したようです。
そこで、
■私たちは、ただひたすらお客様のおっしゃることを聞くことに徹しま
した。
時々、相槌をうちながら「そうですか。申し訳ございません。」
というだけで、一切何もいいませんでした。
お客さまはそれから1時間くらい一人で話し続けられましたが、話した
いことを全て話されたようで、だんだん、声も小さくなってきました。
■そして、ついに
「俺のいうことが分かってくれたんか、あんたらは会社員やから自分
一人の意見で、そう簡単には変えれんわな。」
「まあ、できるときでええからやってえな。」
と言って席を立たれました。
■おまけに、部屋を出ていかれるときに
「ありがとう。」
といっていただきました。
■今日の「ちょっと一言」をどうぞ。
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【 とことん相手の話を聞き続ける 】
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■何か気にいらないことがあって、苦情をいってくる相手に対して、同じ
ように反論しても、まったく相手は聞き入れてくれません。
それどころか、もっと興奮します。
自分が興奮しているときのことを思い出してください。
■これは、理屈ではなく、感情の問題だからです。
相手は、自分の思いが伝わらないことに、怒りを感じているのです。
ひょっとして、結果はどうでもいいかも知れないのです。
ですから、こんなときには、反論せずにただひたすら相手の言うことを
聞くことです。
■決して、話の時間が長いとか、面倒くさいと思ってはなりません。
その心は、相手に伝わります。
ですから、真剣にそして素直に相手のいうことを聞くようにしてください。
必ず、最初よりはいい結果がでます。
だって、相手は少なくとも自分を受け入れてもらったと感じることがで
きるのですから。
第5号 失敗したときはすぐにあやまる

■私が施設の改良工事の新米現場責任者をやっていたときのことです。
その現場がある地区には自治会がありました。
そこの自治会長さんはとても、厳しい方で、その地区内で工事を
するには、絶対に地元説明会が必要でした。
■私は、そのことを知っていたのですが、小さな工事だから地元説
明会は不要だと勝手に判断して、工事に着手しました。
すると、工事開始後2日ほどたって、その自治会長さんから会社
へ電話がかかってきました。
電話の内容は
「なぜ、説明もなしに工事をやっているのか。説明に来い。」
ということでした。
■そのとき、こちらに非があることは分かっていましたので、私は
「すぐに工事を中止します。」
といってしまったのです。
すると、これを聞いた自治会長さんは激怒され、
「すぐに中止できるような工事やったら、止めてしまえ。今後一
切、工事はさせん。」
「もう、お前の話は聞かん。」
そう行って一方的に電話を切られてしまいました。
■その様子を心配していた私の上司が、理由を聞いたので、
「「今後一切工事をさせん。お前では話にならん。」といわれて
しまいました。」
と報告しました。
それを聞いた上司はすぐに、その自治会長さんのところへ飛んで
いったのですが、結果は知らされませんでした。
■その日の終業後、いつもは朗らかな大先輩から
「なぜ、お前では話にならんといわれたからと、課長にふったんや。
自分の責任を放棄したらあかん。あんたをみそこなった。」
と言われてしまいました。
■その翌日は土曜日で会社は休みだったのですが、どうしてもこのこ
とが、気になってしかたがありません。
月曜日に出社してから、自治会長さんに謝りにいけばいいのですが、
それまでは、ずっと気になるままです。
■そこで、今から謝りにいこうと決めました。
日本酒を1本買って、その自治会長さんのお宅にお伺いしました。
玄関のベルを押して、緊張して待っていると、中から会長さんが現れました。
■私は、会長さんの姿を見るなり
「申し訳ありませんでした」
と深々と頭を下げて謝りました。
私が顔を上げると、会長さんは、ニッコリとして
「分かってくれたか」
と言われました。
■そして、
「君では相手にならんといったけど、もし本当に君がこのまま謝
りにこなければ、工事を中止させるつもりやったんや。」
「今日は、休みの日やのにご苦労さんやったな。これで君の人間
性が分かった。もう説明会はいらんから。月曜から工事を再開し
てええで。」
「業者も泣いとるやろ。」
といっていただきました。
■今日の「ちょっと一言」をどうぞ。
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【 失敗したときはすぐにあやまる 】
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■どうも、人間の弱さで失敗しとときは他人のせいにして逃げたく
なったり、謝罪を先延ばしにしたくなったりします。
でも、実際には先延ばしにしても、いつもそのことが気になって
落ち着きません。
それに、相手にしてみればすぐに謝罪に来ないということは、軽
く受けとめられている。誠意がない。と取ります。
■この感情は、遅くなれば遅くなるほど、大きくなります。
そしてついに「今頃何しに来たんや。」
と相手にされなくなります。
このことは、私が今更いうまでもなく、皆さんもご存知なのです
が、実行するのが難しいのです。
でも、間違いなく、早く謝罪にいって悪いことはありません。
勇気を持って、すぐにあやまりましょう。
■そして、すっきりとした気分で一杯やる。
これが最高です。
第6号 人間は絶対に同時に2つのことを考えられない

■皆さん悩みごとをお持ちだと思います。
その悩みごとの中に、考えてもどうしようもないことってありませんか。
悩んで、考えて、どうにかなることであれば、悩む価値はありますが、どうにもならないことを悩んでいるのって、冷静に考えれば変ですよね。
悩んでも、悩まなくても状況は変わらず、結果は同じなのですから。
■こんなときには、昔からよく「何か気晴らしにやってみたら。」
とアドバイスを受けることがあります。
でも、「悩みごとがあるのに、そんな気分になれない。」というのが、大部分の方の反応のような気がします。
本当にそうでしょうか。
■ここに一つの真理があります。
□□□ 今日の「ちょっと一言」をどうぞ。 □□□
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【 人間は絶対に同時に2つのことを考えられない 】
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■これは、真理です。
たとえば、今悩んでいることよりももっと重大なこと、つまり自宅が火事になるようなことが起こったら、そのときには、今までの悩みは頭の中から消えていますよね。
これは、だれも経験があるはずです。
■ですから、やはり、気分転換に違うことをやってみるということは大切です。
■そのうちに、そちらの方が重要になってくるかもわかりません。
■もう一度、いいます。
人間は絶対に同時に2つのことを考えられないのです。
■悩んでもどうにもならないことを悩むより、早く代わりの考えごと
を見つけてしまいましょう。
第7号 今日できることは今日やってしまう

■今回は私が、小学生のころのお話です。
私には、77才になるおじいさんがいました。
あるとき、私は学校の宿題であった絵を縁側で描いていました。
1時間くらい描いたあと、まだ完成していなかったのですが、
そこで一旦止めました。
提出日が2日後だったからです。
■縁側から、居間に入ってきた私を見て、おじいさんがいいました。
「もう描きおわったんか。」
私は
「いや、まだやけど、明日もあるし。」
と答えました。
■すると、おじいさんは
「今から、何かすることがあるんか。」
と聞いてくるのです。
私が
「いや、べつに。」
と答えると
■おじいさんは
「それやったら、今日やっとき。」
「明日は明日でやることがあるやろ。」
と続きをやるように言いました。
□□□ 今日の「ちょっと一言」をどうぞ。 □□□
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【 今日できることは今日やってしまう 】
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■もう、77才になっていたおじいさんの言葉です。
自分に残された時間は残り少ないと感じていたのでしょう。
■時間は無限にあるのではなく、有限である。
だから、今日できることは今日やってしまう。
明日は、また明日でやるべきことがたくさんある。
そう言いたかったのだと思います。
第8号 相手の立場になって初めて分かることがある

■今回はサラリーマン時代、技術部門にいたときの話です。
その職場にはA係とB係がありました。
A係は主に施設の新設を担当する係で、B係は主にその施設の保
守、すなわちメンテナンスをする係でした。
■あるとき、A係の担当者XとB係の担当者Yが新たに作った設備
のことで、口論していました。
担当者Yは
「A係の作った設備は、メンテナンスのことを考えていない。自
分たちの理想だけで施設を作っている。」
といい
一方、担当者Xは
「B係は会社の予算、世間の技術動向が分かっていない。自分た
ちが楽をすることばかり考えている。」
といいました。
■そこで、私は、数ヵ月後にこの二人の係を交換する異動を実行し
たのです。
半年後、どうなったと思いますか。
担当者Xも担当者Yも、相手の係の批判を一切しなくなりました。
□□□ 今日の「ちょっと一言」です。 □□□
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【 相手の立場になって初めて分かることがある 】
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■人は、意識しておかないと自分のことを中心に物事を考えてしま
います。
生物ですから、生きていくうえにはあたりまえのことですが、生
命に危険のないときでも、つい自分の立場や経験だけから物事を
考えてしまう弱さがあります。
■よほど精神的に成長している人でないと、相手の立場を常に考え
ることはできないのではないでしょうか。
私には、できません。
■しかし、自分が実際に相手の立場になってみると、確実に「あの
とき、あいつはこんな状況にいたのか。」と理解できるのです。
ですから、「相手の立場になって初めて分かることがある。」と
いうことだけでも、理解していれば、少しは人間関係が円滑にな
ると思います。
第9号 やりたいことを真剣に行動で示すと相手も理解する

■今回は、今からちょうど11年前の出来事をお話しします。
神戸に震災があった後、すぐのお話です。
地震発生から3日たったときです。
震災で鉄道が不通になっていました。
会社から10km離れた自分の担当する工事現場も被害にあってい
ました。
■この被害を復旧するためには、そこに人を派遣する必要がありま
す。
そこで、私は現場担当の班長に
「A現場の被害の様子を見てきて、その復旧作業をしてほしい。」
と指示しました。
ところが、それを聞いた班長は
「交通機関がないのに、そこに班員を行かすことはできない。」
と断ってきました。
■そこで、私は、工事現場まで一人で歩いて行くことにしました。
往復20kmを5時間かけて歩き、ポラロイドカメラでその現場の
被災状況の写真を撮りました。
そして、会社に帰ってきて、その班長のところにいき、写真を見
せて
「A現場の被害状況は、こうです。」
と説明しました。
■すると、それを聞いた班長は
「わかった。明日から班員を歩かせて現場に行かせる。」
「あんたには負けた。」
と微笑みながらいってくれました。
□□□ 今日の「ちょっと一言」です。 □□□
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【 やりたいことを真剣に行動で示すと相手も理解する 】
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■「自分ができもしないことを他人に命令するな。」
という人がいます。
これは、本当は誤った考えです。
そんなことを言い出すと、全てのことができないと指導者になれ
ないことになってしまいます。
■でも、なかなか誤った考えだと理解している人は少ないと思います。
この議論は、またの機会にします。
では、このような場合にどうすればいいでしょうか。
■そんな相手には、やはり、やりたいことを真剣に行動で示すことが
大切だと思います。
■そのとき、完全にできなくてもいいのです。できないから頼んで
いるわけですから。
「自分は苦労しないから、勝手なことを命令している。」という
相手の反感が解消すれば、動いてくれると思います。
第10号 さわやかないさぎよさは人をひきつける

■今日は、私が以前勤めていた会社に新入社員が入ってきたときの
エピソードです。
ある年の4月に私の事務所に、大卒の新入社員が一人配属されて
きました。
A君です。
私は早速A君を紹介するために、別の棟にある現場詰所に連れて
行きました。そして、現場の皆さんに紹介を済ませました。
ここまではよかったのです。
■そのときに、ある班でたまたま、終業後に飲み会をする予定があっ
たのです。
私は、その班の担当でもあったのでその飲み会に誘われていたの
ですが、弾みでA君も参加することになってしまいました。
A君はその班の所属ではありません。
終業後いよいよ、飲み会が始まって和やかな雰囲気の中、私はA君を残し途中で退席しました。別件の宴会があったからです。
■次の日の朝、A君が私のところにやってきました。
「課長、朝、目が覚めたら、班の詰所にいました。」
「それで畳の上が血だらけになっていました。」
「私には昨夜の記憶がないのですが。」
と、いうのです。
■よく見ると顔が腫れ上がっていました。
私は
「これは、殴られたな。」
とすぐに分かりました。
そして、私はA君に聞きました。
「それで、どうするつもりや。」
■すると
「記憶にはないですが、先輩に殴られたということは、私が悪い
と思います。」
とはっきりといいました。
その言葉を聞いたので
「そうか。それやったら今から現場に行って謝ってこい。今丁度
朝礼をやっとるはずや。」
というと
■「わかりました。」
A君はさわやかに返事をすると一人事務所を出ていきました。
A君は現場の皆の前で頭を下げて謝り、その後、血で汚れた詰所の
畳を一人で一生懸命に拭いていると、後から先輩が二人きて手伝っ
てくれたそうです。
■その後、A君は現場にとてもかわいがられ、今ではその部署の長に
なっています。
手伝った二人が、殴った人間かどうかは分かりません。
□□□ 今日の「ちょっと一言」です。 □□□
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【 さわやかないさぎよさは人をひきつける 】
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■人は、弱いもので自分を守ろうとして、なかなか自分の非を認めよ
うとしません。特に相手方にも非があるときはなおさらです。
上のエピソードでも、顔を殴られたのだから、相手が悪いに決まっ
ていると、つい主張したくなります。
■そんなときに、一切の言い訳をせずに、大勢の前でいさぎよく謝る
人物に出会うと、人は何か自分にないさわやかさを感じるのではな
いでしょうか。
■ときに、何かと理屈をつけて自分の正当性を主張するよりも、あっ
さりと謝ってしまったほうが、相手方に受け入れられる場合があり
ます。
謝るときには、いさぎよさが大切なような気がします。