ユーザー (#1)2009年2月アーカイブ

■皆さん、こんにちは。

 久々の発行です。

 今日は「企業経営者の苦しみ」についてお話しします。

 

■世の中、不況の嵐が吹き荒れて、どの企業も人員削減に血

 眼になっています。

 新聞には連日「○○会社、何万人の人員削減」のみだしが

 大きく掲載されています。

 
 不況なのは分かります。

 ただ、どの経営者も横並びに人員削減に走るのは、ちょっと

 不思議な気がします。


■「今までしこたま儲けさせていただき内部留保金がかなり

  あります。しばらく赤字でも大丈夫です。ですから、人

  員削減はしません。今まで皆さんが儲けたお金を皆さん

  のために使います」

 と、宣言する大企業の経営者がなぜ出てこないのでしょう

 か?


 それは、オーナー経営者ではないからですね。

 

■皆さんもよくご存知の「会社は誰のものか?」という議論

 があります。

 
 最近までは「会社は株主のもの」という考えが主流でした。

 資本の原理からすればそうなります。

 しかし、本当にその会社の発展を夢みて、会社と運命共同

 体になっている株主がどれだけいるのでしょうか。

 
 特に上場会社では、キャピタルゲインを狙って株式を保有

 している株主が多くいますが、そういう株主には自分の会

 社だという意識はありません。

 自分の会社だという意識があれば、値上がりしただけで、

 そんなに簡単に株式を手放すはずがないからです。

 

■さらに株主は会社の負債に対して責任がありません。

 株主の有限責任と言われていますが、それは引き受けた株

 式を払いこむという責任であり、会社が多額の負債を背負

 って破綻すれば、自己の株式の値打ちがゼロとなり、単な

 る紙切れと化すことを受容するという、限定的な責任しか

 ないのです。

 
 サラリーマン経営者は、そんな限定的な責任しかない株主

 から経営を任されて、経営責任を負っています。

 ですから自分の会社のように自由にはできません。

 

■ここにサラリーマン経営者とオーナー経営者の違いがあり

 ます。

 オーナー経営者は、会社は自分と社員のものだと思ってい

 ます。当然ですが。

  

■私の母が、女手一つで私たちを養うために勤めていた社員

 10人の小さなオーナー会社がありました。

 梱包用のダンボールを製造している会社でした。


 そこの会社の社長は苦しくなると、いつも社員にこういっ

 ていたそうです。


 「今、会社は苦しい。そやけど、おまえらは心配せんでえ

  え」

 「会社が人を雇うということは、その社員の生活のめんど

  うをきっちりと見るということや」

 「会社にその覚悟ができとるから社員を雇うんや」

 「わしは、自分の財産を全部売り飛ばしてでも、最後まで

  お前らのめんどうを見たる。そやからしばらくがまんし

  てくれ」

  
■社長から、こう言われた社員はどうでしょうか。

 「よっしゃ、儲けるためにもっと仕事をしよう」

 きっとこう思うでしょうね。

 

■あの本田宗一郎さんにも苦しいときがありました。

 
 それは、自動車修理工場を閉めて、東海精機というピスト

 ンリングを製造する会社を設立したときです。

 設立当初から経営が行き詰ってしまいました。

 金属技術の知識のない本田さんは、どうしてもトヨタに納

 品できるピストンリングを作ることが出来なかったのです。


■当時社員は50人ほどいたようです。

 修理工場時代に儲けた資金も底をつき、奥さんの着物や家

 財を全部質に入れても、まだ給料が払えません。

 ついに、本田さんは、社員に土下座して、給料を待っても

 らうように頼みこんだのです。

 そして、自身は、金属加工技術の勉強のために大学へ通い

 ながら、夜中の2時、3時まで工場でピストンリングの研

 究を続けています。


■そして、9ヶ月後にやっとピストンリングの製作に成功す

 るのですが、なぜ、困難に耐えることができたかについて、

 著書「得手に帆をあげて(三笠書房)」のなかにこう書か

 れています。


 私は幼少の頃、家が貧乏だったのが本当によかったと思っ

 ている。

 もし、裕福で坊ちゃんだったら、現在の私はなかったと思

 う。

 貧乏だとどうしても自分以外に頼るものはない。当然独立

 心が旺盛になる。

 古いいいぐさだが、やっぱり「貧乏はクスリ」だと思う。

 
 これは、企業でもいえる。

 何千人何万人もの従業員を使う経営者が、貧乏人の気持ち

 が分からなければ人を使うこともできないし、人をうなら

 せるような製品も生み出せない。

 
 貧しさは人の心理を読む目を与えてくれる。

 貧乏な家に生まれたからとか、いま貧乏で学校にも行けな

 いからといって悲観することはない。貧乏をすると初めて

 人間の本当の喜びや悲しみが分かると思う。

 
 
 神は決して苦しみだけをよこさない。苦しみには楽しみを

 必ずつけてよこす。

 逆に楽しみには苦しみを必ずつけてよこす。

 悲しみも、喜びも、感動も、落胆も、常に率直に味わうこ

 とが大事だ。

 

■さて

□□□  今日の「ちょっと一言」です。  □□□

──────────────────────────────

     【 神は決して苦しみだけをよこさない  】

──────────────────────────────


■以前にも書きましたが、私の家も貧乏でした。

 皆さんは、貧乏をしたことがある者の強さとは何だと思わ

 れますか。

 

 サラリーマンを辞めて安定した生活を捨てたときに、私は

 妻にこういいました。

 
 「もし、失敗しても、また昔の貧乏に戻るだけや。どうな

  ろうが飯だけは食わせる自信がある。今までそうやって

  生きてきたんやから」


    そう、貧乏をしたことがある者の強さとは、

    貧乏になることが恐くないことです。
 


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 最後までお読みいただき本当にありがとうございました。

  
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