■皆さん、こんにちは。
久々の発行です。
今日は「企業経営者の苦しみ」についてお話しします。
■世の中、不況の嵐が吹き荒れて、どの企業も人員削減に血
眼になっています。
新聞には連日「○○会社、何万人の人員削減」のみだしが
大きく掲載されています。
不況なのは分かります。
ただ、どの経営者も横並びに人員削減に走るのは、ちょっと
不思議な気がします。
■「今までしこたま儲けさせていただき内部留保金がかなり
あります。しばらく赤字でも大丈夫です。ですから、人
員削減はしません。今まで皆さんが儲けたお金を皆さん
のために使います」
と、宣言する大企業の経営者がなぜ出てこないのでしょう
か?
それは、オーナー経営者ではないからですね。
■皆さんもよくご存知の「会社は誰のものか?」という議論
があります。
最近までは「会社は株主のもの」という考えが主流でした。
資本の原理からすればそうなります。
しかし、本当にその会社の発展を夢みて、会社と運命共同
体になっている株主がどれだけいるのでしょうか。
特に上場会社では、キャピタルゲインを狙って株式を保有
している株主が多くいますが、そういう株主には自分の会
社だという意識はありません。
自分の会社だという意識があれば、値上がりしただけで、
そんなに簡単に株式を手放すはずがないからです。
■さらに株主は会社の負債に対して責任がありません。
株主の有限責任と言われていますが、それは引き受けた株
式を払いこむという責任であり、会社が多額の負債を背負
って破綻すれば、自己の株式の値打ちがゼロとなり、単な
る紙切れと化すことを受容するという、限定的な責任しか
ないのです。
サラリーマン経営者は、そんな限定的な責任しかない株主
から経営を任されて、経営責任を負っています。
ですから自分の会社のように自由にはできません。
■ここにサラリーマン経営者とオーナー経営者の違いがあり
ます。
オーナー経営者は、会社は自分と社員のものだと思ってい
ます。当然ですが。
■私の母が、女手一つで私たちを養うために勤めていた社員
10人の小さなオーナー会社がありました。
梱包用のダンボールを製造している会社でした。
そこの会社の社長は苦しくなると、いつも社員にこういっ
ていたそうです。
「今、会社は苦しい。そやけど、おまえらは心配せんでえ
え」
「会社が人を雇うということは、その社員の生活のめんど
うをきっちりと見るということや」
「会社にその覚悟ができとるから社員を雇うんや」
「わしは、自分の財産を全部売り飛ばしてでも、最後まで
お前らのめんどうを見たる。そやからしばらくがまんし
てくれ」
■社長から、こう言われた社員はどうでしょうか。
「よっしゃ、儲けるためにもっと仕事をしよう」
きっとこう思うでしょうね。
■あの本田宗一郎さんにも苦しいときがありました。
それは、自動車修理工場を閉めて、東海精機というピスト
ンリングを製造する会社を設立したときです。
設立当初から経営が行き詰ってしまいました。
金属技術の知識のない本田さんは、どうしてもトヨタに納
品できるピストンリングを作ることが出来なかったのです。
■当時社員は50人ほどいたようです。
修理工場時代に儲けた資金も底をつき、奥さんの着物や家
財を全部質に入れても、まだ給料が払えません。
ついに、本田さんは、社員に土下座して、給料を待っても
らうように頼みこんだのです。
そして、自身は、金属加工技術の勉強のために大学へ通い
ながら、夜中の2時、3時まで工場でピストンリングの研
究を続けています。
■そして、9ヶ月後にやっとピストンリングの製作に成功す
るのですが、なぜ、困難に耐えることができたかについて、
著書「得手に帆をあげて(三笠書房)」のなかにこう書か
れています。
私は幼少の頃、家が貧乏だったのが本当によかったと思っ
ている。
もし、裕福で坊ちゃんだったら、現在の私はなかったと思
う。
貧乏だとどうしても自分以外に頼るものはない。当然独立
心が旺盛になる。
古いいいぐさだが、やっぱり「貧乏はクスリ」だと思う。
これは、企業でもいえる。
何千人何万人もの従業員を使う経営者が、貧乏人の気持ち
が分からなければ人を使うこともできないし、人をうなら
せるような製品も生み出せない。
貧しさは人の心理を読む目を与えてくれる。
貧乏な家に生まれたからとか、いま貧乏で学校にも行けな
いからといって悲観することはない。貧乏をすると初めて
人間の本当の喜びや悲しみが分かると思う。
神は決して苦しみだけをよこさない。苦しみには楽しみを
必ずつけてよこす。
逆に楽しみには苦しみを必ずつけてよこす。
悲しみも、喜びも、感動も、落胆も、常に率直に味わうこ
とが大事だ。
■さて
□□□ 今日の「ちょっと一言」です。 □□□
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【 神は決して苦しみだけをよこさない 】
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■以前にも書きましたが、私の家も貧乏でした。
皆さんは、貧乏をしたことがある者の強さとは何だと思わ
れますか。
サラリーマンを辞めて安定した生活を捨てたときに、私は
妻にこういいました。
「もし、失敗しても、また昔の貧乏に戻るだけや。どうな
ろうが飯だけは食わせる自信がある。今までそうやって
生きてきたんやから」
そう、貧乏をしたことがある者の強さとは、
貧乏になることが恐くないことです。
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最後までお読みいただき本当にありがとうございました。
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