■皆さん、こんにちは。
今日は「不安と後悔」についてお話しします。
皆さんもよくご存知の「杞憂」という故事があります。
■昔、杞の国のある男が、天が崩れ落ちてくるのではないかと心配し、
食事ものどを通らず、夜も眠れずにいました。
それを心配した友人が
「天は気が固まってできているので、絶対に崩れることはない」
と、いって安心させようとしましたが、その男は
「それなら月や星が落ちてきたらどうなるのだろうか」
と、また心配しました。
それで再び友人は
「月や星も気が固まっているだけなので、落ちてきても怪我一つ
しない」
と説明し、ようやく杞の国の男は安心したというお話です。
心配する必要のないことをあれこれ心配すること。取り越し苦労を
するという意味ですが、
皆さんも突然、不安や後悔の念に襲われることはありませんか。
■今回は不安と後悔の念に対処する方法についてお話しします。
皆さんは不安とはどういうものなのか、じっくりと考えてみること
など、ないと思います。
実は、不安というのは、未来が予測できないから、起こることなの
です。
しかし、本当に未来が予測できるのでしょうか。
できません。これは真理です。
■私の知り合いに老後の生活を心配して不安になっている人がいます。
しかし、明日生きている保証はありません。
その人は明日、交通事故で亡くなるかも分かりません。
私たちに、未来は、予測できないのです。
そして、交通事故で亡くなるのであれば、老後の心配はいらないの
です。
ところが、この人は「明日交通事故にあったらどうしよう」とは、考
えずに、「年老いたときにお金が無かったらどうしよう」と考えてい
ます。
どちらも、起こるかも分かりませんし、起こらないかも分かりませ
ん。
この人は、絶対に予測できない未来について心配しているのです。
■また、あの時こうしていればよかったと後悔している友人もいます。
後悔しても過去を変えることはできません。
過去はタイムマシンに乗らない限り変えることはできないのです。
では、どうすればいいのでしょうか。
確かに、反省は必要です。
過去のどこが悪かったのか、反省をして、今を変えるのです。
今だけがコントロール可能だということを早く理解することです。
そして、今を変えれば1秒後の未来が変ります。
■そうです。不安や後悔の念をいだかない最良の方法は、今この瞬間
に集中することです。
目の前のことだけを見ることです。
そうはいっても、どうしても不安なことが頭に浮かんでくるという
人もいるでしょう。
そんな人は、先ず体を動かして今に集中してみてはどうでしょうか。
そうすると、今の時間の中に身を置くことができます。
■ 「今日食べるのが精一杯で、明日のことなど考えられない」
母子家庭であった私の母が、私が小さいころ、よくそういっていま
した。
この言葉にヒントがあるような気がします。
■また、昔、祖父から聞いた仏教説話にこんな話があります。
ある旅人がいました。旅人は、うっそうと茂った草むらに足を取ら
れそうになりながら、広い野原をとぼとぼ歩いていました。
すると、突如として一頭の大きな虎が現れました。
旅人は一瞬色を失って立ちすくみましたが、すぐにはっと気付いた
ように走り出しました。虎は吠えながら旅人を追ってきました。
おなかを空かせた虎は、久しぶりに餌にありつけると、猛然と迫っ
てきました。
■そして、まさに、旅人は虎の牙にかからんとした時、目の前に古井
戸がありました。
よく見ると、井戸の上に覆いかぶさるように生えている木に藤づる
がからんでいました。
そしてそれが井戸の中にたれていました。
旅人はそれに飛びついて、井戸の中におりていきました。
虎は井戸の中までは入ってくることができませんでした。
旅人はほっと一息ついて、井戸の底を見ました。
すると、そこには二匹の大蛇が真っ赤な火のような舌をチロチロと
出して、旅人の落ちて来るのを待ち構えているではありませんか。
旅人は生きた心地がしませんでした。
次の瞬間、上の方からガリガリと音がするので、旅人は上を見上げ
ました。
■するとあろうことか、旅人が必死になってつかまっている藤づるを、
白と黒のねずみが、代わる代わるやって来ては、かじっているでは
ありませんか。
藤づるはだんだんと細くなっています。
このままでは、つるはねずみに噛み切られて、旅人は、大きな口を
空けている大蛇めがけて落下するほかありません。
■旅人は、何とかねづみを追い払おうと、つるを揺すってみました。
すると、蜜がポトリ、ポトリと顔に落ちてきました。
上の木の枝に蜜蜂が巣を作っていたのです。
旅人はその蜜を舐めてみました。
すばらしい甘味です。
旅人は、蜂蜜のうまさにすっかり酔ってしまいました。
そして、旅人は、虎や大蛇のいることも、また、つるがねずみに
かじられていることも、みんな忘れて、何度も何度もつるを揺ら
して蜜を舐め続けました。
■これは人間のどうしようもない性をみごとに表した説話です。
例えは悪いかも知れませんが、この人間の持って生まれたどうし
ようもない性を逆に利用すればいいのです。
旅人がつるを揺らして蜜を舐めたように、
行動して今に集中すれば、不安は消えます。
■さて、
□□□ 今日の「ちょっと一言」です。 □□□
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【 行動して今に集中すれば不安は消える 】
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■「アランの幸福論:Discover」
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に哲学者アランの言葉として、こう書かれています。
現にある事実には、それがどんな不都合なものでも、よいところが
ある。
事実は可能性の勝負に決着をつけている。
つまり「これから起こること」では、もうないのだ。
だからこそ、新しい未来を、新しい観点で浮かびあがらせてくれる。
■また、こんな言葉もあります。
「私は未来のことは考えない。どうせすぐにやってくるのだから」
I never think of the future. It comes soon enough.
アルバート・アインシュタイン
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最後までお読みいただきありがとうございました。

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