■皆さん、こんにちは。
今日は「恐怖と自信」についてお話しします。
前回は、お墓の話をしました。その続きではありませんが、「な
ぜ人は死ぬことが怖いのか」について考えてみます。
■高校生時代にアメリカンフットボールを指導して下さった体育の
先生が私たち部員を前にして、こんなことを言ったのを覚えてい
ます。
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人は、自分が経験したことのないものを怖がる。
死ぬのが怖いのと同じで、これから先、自分がどうなるのか分か
らないからである。
もし、既に同じことを経験して、自分がこれから先どうなるのか
を知っていれば、苦痛があるとかの体の痛みのあるものは別とし
て、得体の知れない恐怖に襲われることはない。
だから、お前たちは今のうちに、いやというほど体力的にも精神
的にも厳しい練習をしておくべきである。
それをのり越えた先に何があるのかを、先に経験しておけば、社
会人になって、つらいことがあっても恐れることなくきっと、の
り越えられる。
お前たちが今、厳しい練習をしておく意義がそこにある。
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先生は、辛い練習に不満を持っていた私たち部員にそういって諭
しました。
■どんな一流の選手もそうですが、厳しい練習で耐えられないのは
体力ではなく、精神なのです。
体のつらさはそのときだけですが、精神面でのつらさは、自分の
理想とするレベルに到達するまで続くからです。
実際、厳しい練習で知られる大学に進学し、何時間も延々とダッ
シュをさせられてアメリカンフットボールで日本一に輝いた友人
も
「体力的にきついのは何でもない。でも精神的にきついのには耐
えられない」
と現役時代には、こぼしていました。
■さて、
□□□ 今日の「ちょっと一言」です。 □□□
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【 経験が多いほど得体の知れない恐怖は少なくなる 】
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■あるとき私たち高校生の練習に、当時大学日本一になっていた大
学の選手に指導にきてもらったことがあります。
私たちは、その大学の練習には鉄拳制裁もあることを知っていま
したので、きっとこわい選手が来るのだろうと思っていました。
ところが、実際に指導を受けてみると、その選手は丁寧な言葉を
使ってとても穏やかに私たちに接してくれました。
その選手のことを、私たちは鉄拳制裁を受けながら、厳しい練習
をしている人だとはとても思えませんでした。
■その選手が帰った後、先生が私たちにいいました。
「お前ら不思議に思っとるやろ。何であんな穏やかな顔をして、
丁寧な言葉を使うんやろうと」
「なんでや分かるか?」
「精神的に厳しい練習を乗り越えた人間は、皆あんな穏やかな
顔になるんや」
「自分に自信ができて、他人に優しくなれるからや」