■皆さん、こんにちは。
今日は、"学生と組織の仕事"についてお話しします。
■学生と社会人の最も大きな違いは何でしょうか。
私は、組織との関わりを持たなくても済むか、そうでないかだと考
えています。
学生時代には、朝起きて学校に行き、真面目に授業を聞いて、掃除
などの自分に与えられた最低限の義務を果たせば、ほとんど机に座
ったまま、個人で過ごすことができます。
■学校では、まず「団体で協力して、これこれをやり遂げなさい」と
いうような課題は与えられません。
ですから、本人がその気になれば、朝学校に行って、家に帰ってく
るまで誰とも会話しないということも可能です。
本当はそうではないのですが、自分一人だけで生活が完結している
ように見えてしまいますし、表面的にもそういう生活になります。
■要するに、組織の中で他人との関わりを持たなくても生活ができて
しまうのです。
ですから、社会人になった時に困ったっことが起きます。
組織の一員としての自分の位置や役割が認識できないのです。
■こんな話があります。
ある会社で新人研修を終えたばかりのA君がある係に配属されま
した。
この係は、自分たちの工場の生産設備の修繕工事を担当する係でし
た。
この係にはA君の他に2人の先輩社員がいました。
■A君が新しく配属になったので、係長は仕事の分担会議をしました。
そして、その分担会議において、A君には4つの修繕工事が、他の
先輩社員にも同じく夫々4つの修繕工事が割り当てられました。
それからしばらくたったある日、その工事の発注仕様を検討してい
たA君は、先輩社員にこう言いました。
「なぜ、ぼくや先輩がたくさんの工事を割り当てられて、忙しそう
にしているのに、係長や課長は工事を一つも担当しないのですか。
おまけに、席に座っていないことが多いし。不公平だと思いませ
んか」
A君は、真顔で工事の分担が平等でないことや上司が席に座ってい
ないことが多いことに対する不満を漏らしました。
この話を聞いた先輩社員は苦笑いをしました。
■社会人経験者は、お分かりですが、組織では仕事を進めていく上で
役割分担があります。
もちろん、人間の偉さとは無関係ですが、役割分担がないと組織は
機能しません。
■これが、組織に属した経験がない人には理解できません。
ですから、目先の修繕工事の割り当てだけが仕事の全てだと思って
しまいます。
■本当は、係長には係長にしかできない、他の係との交渉とか、課内
での予算折衝、係員間の負荷の調整とかの仕事があります。
また課長には課長の、本社との折衝や発注業者の調整、係員の人事
等の仕事があります。
■これらの仕事はA君の担当した工事のように必ずしも目に見えて形
になるものではありません。
そこが、組織に属したことのない人には理解できないのです。
■A君は仕事が終わって仲間と一杯飲んだ後の帰り道で
「係長のぼけ。自分は何も仕事をしないで俺ばっかりに仕事を押し
付けやがって」
と喚いて、道端にあったドラムカンを何回も蹴ったそうです。
当たられたドラムカンはぼこぼこになりました。
■この事件から何年か後にA君にも後輩ができました。
そのときにA君はこのドラムカンのことを係長に話しています。
「お恥ずかしい話ですが、新入社員当時、係長の仕事が理解できず
にドラムカンを蹴り飛ばしてうさを晴らしていました。今考える
と馬鹿みたいな話です」
「今度の新入社員には、組織にはそれぞれ役割分担があり、目に見
えない仕事も重要なことをちゃんと説明しておきます。また蹴ら
れると、あのドラムカンがかわいそうですから」
■さて、
□□□ 今日の「ちょっと一言」です。 □□□
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【 学生時代から組織活動に参加すべし 】
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■私は経験上、学生時代に組織活動に積極的に関わっておくことが
大切ではないかと思います。
昔は、地域で子供会などの組織がありました。
今の子供会は、半分以上大人が運営して、子供は用意された催し
に参加するだけですが、昔の子供会は、全て子供が運営していま
した。
クリスマス会をやるとすれば、子供の会長が皆を集めて、司会は
誰、プレゼントの買出しは誰、会計は誰、掃除と会場準備は誰と
いうようにちゃんと役割分担を決めていました。
おまけに、地域の大人の立場も考えて会議の結果を子供会担当の
大人に報告していました。
■今、このような子供の組織活動が少なくなり残念です。
社会人になって初めて組織活動を強制される。
今の子供たちはかわいそうです。
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