■皆さん、こんにちは。
今日は、"予算の確保"についてお話しします。
■以前に、リーダースダイジェストに載っていた、バスの運転手さ
んのお話を紹介させていただきました。
バスに乗ってきた妊婦に誰も席を譲らないので、バスの運転手さ
んが自分の運転席を譲ったために、バスが発車できなくなってし
まった話です。
バスが動かなくなり自分が困ると、お客さんが一斉に妊婦に席を
譲り始めたという、人間の身勝手をうまく表現した話でした。
■これに似た出来事は、日常の会社の業務の中にもあります。
例えばこんな話です。
■ある電力会社で送電状況の管理をするために大掛かりなコンピュ
ータ設備が導入されることになりました。
そのコンピュータの維持管理はシステム保全係に任されましたが、
コンピュータ設備の設置とコンピュータ室の増設は設備投資を担
当する工事係がやることになりました。
■工事係は、導入するコンピュータの台数、電源設備の容量やコン
ピュータ間を接続するケーブル等を詳細に検討して、工事費用を
計算しました。
すると、工事費用が、当初予算を大きく超えてしまうことが分か
りました。
このままでは、工事ができない。
■困った工事係は、工事費を節減するためにコンピュータシステム
に詳しいシステム保全係に、良い知恵がないか相談しました。
しかし、システム保全係は自分たちの仕事が忙しいという理由で
真剣に工事費の節減策を考えてくれませんでした。
■そこで工事係は仕方なく、コンピュータに直接関係のないコンピ
ュータ室の床材や壁材を安価な物に変える等設計変更を行い、苦
労の結果なんとか予算内の工事費に収めることができました。
そして工事稟議は無事に社内審査を通過して、社長決済が下り、
施工業者も入札で決まり、以後はとんとん拍子で工事が開始され
ました。
■ところが、工事を開始して一週間が経過した頃に事件が起こりま
した。
今でこそ、コンピュータ室には動作安定化のためエアコン完備が
常識となっていますが、この工事をやっていた頃には、その常識
がありませんでした。
■何と、コンピュータのメーカが、エアコン完備の部屋でないと動
作を保障しないと言っていることが発覚したのです。
この事実を聞いて、大いに慌てたのは、コンピュータを維持管理
することになるシステム保全係です。
コンピュータの動作が保障されないとなると、いつ故障対応で呼
び出されるか分からず、夜も安心して眠ることができないからで
す。
■慌てたシステム管理係は、工事係にコンピュータ室にエアコンも
設備するように申し入れをしました。
が、返ってきた答えはこうでした。
「そんな予算はとっていない。エアコンを付ける金はない」
■よくある話です。
エアコンがなくても、工事係は一向に困らないからです。
本当は、エアコンがないために、コンピュータがよく故障して、
電気がストップすると、お客様の信用をなくし、会社の売り上げ
が減って、やがて自分の給料が減ることになるのですが、普通は
そんなことまで考えません。
もし、いつもそこまで考えている社員ばかりなら、その会社は大
成功するでしょう。
■結果的に困ったシステム管理係は、直接経理部に談判してエアコ
ン設置の追加予算を認めてもらい、現在に至っています。
■さて、
□□□ 今日の「ちょっと一言」です。 □□□
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【 それが無ければ困るところが予算を計上すべし 】
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■私はサラリーマン時代に親会社の先輩からこう言われたことを覚
えています。
「本当にしたいことがあれば、絶対に自分たちで予算どりをする
べきだ。
「例えその予算を執行するのが他の部署であっても、予算はそれ
を実現したい部署、それがなければ困る部署がとるべきだ」
「そうじゃないとどこも本気で予算どりをしない」
「もっとも、本当はしたくないために、予算がとれないことを逃
げ道にするのなら、他の部署に予算処置を任せる方がいいとき
もあるが」
その先輩は、今上場企業の社長をされています。
■困るところが予算をとる。逆にいうと困らなければ誰も本気で予
算どりはしない。「困らなければ席を譲らない」先のバスの乗客
と似たような話ですね。
PS 実際、他の部署から「君の部署から予算要求をしてもらう
が、その予算は本気でとらないでほしい」と頼まれたこと
があります。
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