■皆さん、こんにちは。
今日は「他人のことと、自分のこと」についてお話しします。
■昨日、テレビで福島県の最南端に位置する人口約7千人の町、矢
祭町の特集をやっていました。
ご存知の方も多いと思いますが、「もったいない図書館」と町民
の自主自立の行政で有名な町です。
この町は、市町村の合併に反対して、自立の道を選んだことで、
財政的に非常に厳しい状況にありました。
そこで、町の支出を押さえるために、今まで嘱託していた町舎の
清掃業務等を職員自ら行うようにしました。
テレビには、課長さんたち管理職が、長靴をはいてトイレの清掃
を行っている場面が放映されていました。
■この場面を見て、私も同じことをやっていたことを思い出しまし
た。
当時勤務していた会社も収入減から、支出を抑える必要に迫られ
ていました。
そこで、今まで外部委託していた会社内のトイレを含む清掃全般
を自分たちでやるようにしたのです。
部長以下管理職全員が交代制で勤務終了後に毎日トイレの清掃を
しました。
■最初、この案が出たときに、本社から一部反対の声が出ました。
その声とは
「清掃で削減できる経費など知れている」
「そんなことより我々には、もっとやるべき重要なことがある」
でした。
勤務時間が終わった後のたった30分に、どんなやるべき重要な
ことがあるのでしょうか。
私には、本社のプライドとしか思えませんでした。
現場の私たちは、とにかくやってみようと始めました。
■ある日、私が当番のときの出来事です。
いつものように、小用の便器に洗剤をかけて、それをブラシで磨
き、次に大用の便器を磨こうとしたときのことです。
個室のドアを開けて便器に洗剤を付けようとして、ふと、気付く
ことがありました。
「うん?、いつもより、汚れが少ない」
そう思って、全ての個室を見ると、やはりいつもより汚れが少な
い。
汚い話で申し訳ありませんが、清掃を始めた最初の頃は、個室を
開けるとたいてい便器の外にうんこが付いていました。
それが、最近はあまり見かけません。
■清掃を終わって「なんでやろう」と考えているところへ、係員が
用を足しに入ってきました。
その係員は、ブラシを片付けようとしている私を見て
「課長、ご苦労さまです。もう使わせていただいてもいいですか」
と聞くので
「おお、いいよ。もう掃除は終わったから」
と答えると、その係員は用を足しながら、私にこう言いました。
「今までは、正直トイレを汚さないようにしようなどと考えたこ
ともありませんでした。業者さんが掃除をしていましたから」
「でも、自分たちの仲間が掃除をしていることが分かると、
やっぱり、汚さないようにしようって思います」
■その係員が出ていった後、私はなんだかうれしい気分になりまし
た。
今までは、気にもしなかったことを自分たちの問題として、捉え
るように社員の意識が変ってきたのです。
自分たちで清掃をすることで節減できる経費など、確かに知れて
います。
しかし、その経費とは比べものにならない程、大きな効果があっ
たのでした。
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■さて、
□□□ 今日の「ちょっと一言」です。 □□□
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【 自分たちの問題として捉えると意識が変る 】
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■先の矢祭町の場合でも、合併を拒否したので、補助金には頼れま
せん。
「他の町に負けてたまるか」
町長の指導力もあって、先ず、町の職員たちが本気になったので
す。
それが365日休まない町役場という形となって現れます。
そして、町民の意識が変ります。
「役場の人があそこまでやっているのだから、自分たちも負けて
はいられない」
「自分たちの町は、自分たちで守ろう」
その思いが、全国で例を見ない、役場の職員とともに町民が自ら
自分たちの町のために活動する町になったのです。
■現役を引退された元の町長が印象的な言葉を残しておられます。
「この町は、町長や役場の幹部が変っても問題なくやっていける。
町の人々が、これからどうやっていくかを全て知っている」
と。

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