■皆さん、こんにちは。
今日は、会社での肩書きについてお話しします。
組織に属すると、何かしらの肩書きがつきます。
でも、それは、その人の能力を表しているのではなく、役割分担を
表しているのです。
■長らくサラリーマンをやっていると、これを自分の能力と勘違いし
てしまう人が多いようです。
こんなエピソードがあります。
■ある大銀行を常務取締役を最後に退職した人物がいました。
その人は最初は、よく働いたので退職後は職に付かずにのんびりと
した第2の人生を送ろうと考えていました。
ところが、退職してみると、出かけるところがない。電話もかかっ
てこない。近所とのつきあいもない。
朝起きてもやることがないのです。
そのうちに、元常務はもう一度働いてみようと思いました。
■そして、近くのハローワークに出かけました。
ハローワークについた元常務は、窓口にいって、求職相談を始めま
した。
窓口の担当官は、元常務に質問しました。
「ところで、あなたは何ができるのですか?」
元常務は自信満々に答えました。
「常務取締役ができます」
それを聞いた担当官は
「いや、そうではなくて、何ができるんですか?」
「だから、常務取締役ができるといっているじゃないか。君は失礼
なやつだな」
元常務は興奮気味に答えました。
彼は、元の会社での役割と、自分が会社を離れてもできることを混
同してしまっているのです。
担当官はいいました。
「会社があってこその常務取締役ですよ。あなたは今一人なんです
よ。会社は関係なく、あなた自身は一人で何ができるんですか?」
これを聞いた元常務は
「はっとしました」
「自分一人でできることが何もない」ことに気が付いたからです。
■コカ・コーラ社の社長だったドナルド・キーオがこんなことを言っ
ています。
「私は名刺を持っている。それには『コカ・コーラ社社長ドナルド・
キーオ』と書いてあるが、本当に自分のものであると言えるのは
『ドナルド・キーオ』という私自身だけだ。私は、束の間の社長であ
るに過ぎないし、この立派な社長室でも束の間の住人であるに過ぎ
ない。だから本当は、この名刺を捨てて、できることなら『ドナル
ド・キーオ』とだけ書いた名刺を持って歩いた方がいいのだろう。
実際にそれが私の全てなのだから。私はずっとそう思い続けている」
■さて、
□□□ 今日の「ちょっと一言」です。 □□□
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【 肩書きは人の価値ではない。一人の人間としてどうかにその人
の価値がある 】
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■私には、昔から疑問に思っていることがあります。
それは、企業を退職した取締役の大多数が、一人で会社を起こすことが
できない現実です。
■取締役は、企業の経営のプロです。それが、引退して一人になると、自
分で企業を経営できない。
自営業すら起こせないのは不思議です。

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