■皆さん、こんにちは。
今日は、"人のことを心配できる人"についてお話しします。
■私には、造園業を営む父がいました。その父も私が13歳の夏休み
に42歳の厄年で、この世を去りましたが、父がまだ元気な頃、こ
んな出来事がありました。
■確か私が小学校の4年生のときだと思います。小学生の私には、と
ても印象的な出来事だったので、今でもそのときのことは鮮明に覚
えています。
■あるとき私が家の中で遊んでいると、玄関から男の人の声がしまし
た。
「すいません。だれかおられませんか」
元気のなさそうな声が、何回も聞こえてきました。
■ちょうど夕飯の支度をしていた母はその声に気が付き、玄関の方へ
出ていきました。
そして、なにやらその男の人と話をした後に、台所へ戻ってきた母
は、おもむろに紙の弁当井箱を普段は使わない棚から取り出しまし
た。
■そして、その中に昼に残った冷やご飯を一杯詰め、最後に梅干を1
個真ん中に入れた日の丸弁当を作りました。
母は、再び玄関の方に向かい、先ほどの男の人に、その弁当を黙っ
て渡したようです。
■その男の人が帰った後、すぐに父が仕事から帰宅しました。
母は、先ほどのことを父に話しました。
「30歳くらいの男の人が来て、食べるものがなくて困っていると
いうから、家にあった冷やご飯にうめぼしを入れて渡してあげた
んや」
■それを聞いた父は、顔色を変えて
「若いのに仕事もせず、そんなことをしとったらあかん。その人は
どっちの方に行ったんや」
と母に聞きました。
■母が、その男の人が行った方向を告げると、それを聞き終わるやい
なや、父はすぐに家を飛んで出て、男の人の後を追っかけて行きま
した。
■それから、10分くらい経って、父が家に帰ってきました。
そして、家の中に入ってくるなり、皆に向かってこう言い始めまし
た。
「まだまだ働けるあんな歳で、物乞いをしたらあかん。また、させ
たらあかん。わしは、今追いかけて行ってそのことをゆうてきた
んや」
「あんたみたいに若いのに、働きもせず、人に物乞いをしたらあか
んと。ちゃんと仕事を探して働くようにと」
「そしたら、その人が、"分かりました。仕事を探してみます"と
いうから、"もし、仕事が見つからんかったら、いつでも相談に乗
ったるから寄ってこい"というてきたんや」
■いつもは、温厚で、仕事一筋の父が、顔色を変えて、追いかけて行っ
たところを見て
"なんで、他人のことやのに追いかけて行ったんやろ"
私は、不思議に思っていました。
■さて、
□□□ 今日の「ちょっと一言」です。 □□□
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【 人のことを心配するとは、素直にその人のことを思うこと 】
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■母も、見返りを期待してご飯をあげたのではありません。
父も、もちろん見返りを期待して、説教をしたのではありません。
■ただ、母の場合は、同情だけで終わってしまいました。
■父は、その人が今後自分で生きていけるように考えました。
■私は、今、教育関連の仕事もしていますが、子供の教育も同じで
"子供がやがて、一人で生きていけるように"
してあげることが何よりも大切だと思います。