「ちょっと一言」こころの栄養 バックナンバー: 2011年3月アーカイブ

■皆さん、こんにちは。
 今日は、"人の信用 "について
 お話しします。

■ある一部上場会社での出来事です。
 
■その会社では、定期的にペーパーでの昇進試験がありました。

 ある日、現場に配属された入社3年目のA君は、徹夜明けで試験を
 受けていました。
 
■その試験会場には、いわゆる本社組と言われる机の上で仕事をする
 ことを主とする社員も多く来ていました。

■試験が始まり問題を開くと、なんと紙面の半分は、社歌の一部が
 ところどころ穴開きになっている穴埋め問題でした。

■本社では、毎日始業時と昼休に社歌が流れているようでしたが、現
 場にいるA君は入社式で聞いて以来、社歌など聞いたことがありま
 せん。

■一般常識や、自分の専門技術のことなどが出ると思っていたA君は
 がっかりするとともに、腹だたしくなってきました。


■「問題を作った本社の連中は何を考えとるんや」

 そう思った瞬間に眠さでイライラしていたこともあり

 「こんなばかばかしい試験やってられるか」
 
 という気持ちになってきて、ついに白紙で回答用紙を提出してしま
 いました。

■一方、本社の連中は、自分たちの分からない現場のことが少し出て
 いたので、必死になって周りにいた現場の社員に聞いていました。

 「成績が悪いと本社の恥だと言われる」と。

■それから、一週間経ったころ、A君は担当部長に呼び出されました。

 部長は、A君にこう言いました。

 「労働組合も含め皆が、おまえは馬鹿だと言っている」

 A君はこう答えました。

 「では、社歌を完璧に覚えている本社の連中だけが優秀なのですか。
  会社の設備の知識や一般常識が全くなくてもです」
 
 「試験を受ける人数は、本社の連中よりも現場の連中のほうが多い
  のですから、もっと、平等な試験にすべきだと思います」

 しかし、当時この提案は、変わり者の意見だとして決して受け入れ
 られることはありませんでした。 

■やがて、10年が経ち、A君は現場の管理職になっていました。

 A君は、思い出したように平等な昇進試験制度への変更を提案しま
 した。

 制度の内容は、以前からこのときのためにじっくりと検討していま
 した。

■すると、どうでしょう。

 A君の提案は、すぐに受け入れられて、会社に採用されました。

■以前と全く同じ趣旨の提案です。 

 何が違ったのでしょうか。

 それは、"A君の信用"です。

■さて、

□□□  今日の「ちょっと一言」です。  □□□

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【 言ったことの影響力はその人の信用に比例する  】
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■本田宗一郎さんは「人は信用とカネの天秤棒を担ぐ」と
 言っておられますが、そのとおりだと思います。

■私の会社ではアルバイトの学生さんがたくさんいますが、
 彼らが就職により会社を離れるときには、いつも次の言葉を
 送ることにしています。
 
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 さて、4月から、いよいよ社会人です。
 これから社会で活躍されるあなたに、サラリーマン暦20年の先輩
 から、一言だけアドバイスをさせていただきます。

 今では、だいぶ改善されているようですが、社会では、新人がいく
 ら良い提案をしても、また正しいことを主張してもまだまだ聞いて
 もらえません。

 これは、あなたが悪いのではなく、あなたにまだ信用がないからで
 す。

 社会は、信用のない人物のいうことは聞いてくれません。

 しかし、だからといって何も考えずに仕事をしていていいというこ
 とではありません。

 いつか、きっとあなたも経験を積んで信用を得るときがきます。
 そのときに、あわてて、自分の考えや意見をまとめても、遅いので
 す。

 今から、ものが言える立場になったときのために、ずっと「私なら
 こうする」という考えをあたためておくのです。

 そして、そのチャンスがきたときに、迷わず実行するのです。

 いつでも困ったことがあれば、相談にのります。また気軽に事務所
 にお立ち寄りください。

 では、ご活躍を期待しております。

 ■皆さん、こんにちは。
 今日は、少し大げさですが"お金は持って死ねないこと"について
 お話しします。

■若い時には意識することはありませんが、人間には寿命が有りいつ
 かは必ず死にます。
 
■そして、死ぬときは、生まれた時と同じようにたった一人で、しか
 も、体一つ、裸一貫で何も一緒に持っていくことができません。
 
■よく、大成功した人物が、現役を引退すると、自分の財産を世の中
 に役立つように還元していくことがあります。
 これは、死ぬときには何一つ一緒に持っていけないことを明確に意
 識して、生きている間に世の中にお返しをしようと考えるからだと
 思います。

■この理屈で、結局何も持っていなくても、最終的には同じことだと
 考えて、あまりお金がなくても「惨めな気持ちにはならないでおこ
 う」と、自分を納得させている人もいます。

■普段から世の中に奉仕をしていて、世の中にお返しするお金がない
 人、普段お金もうけをしていて、死ぬ前にお金を世の中にお返しす
 る人。
 どちらの人も、結局全てのお金を世の中に返して、一銭も持たずに
 死んでいきます。

■こんな寓話が「ユダヤ5000年の知恵」講談社文庫に出てきます。

■あるとき一匹のキツネが、ぶどう園のそばに立って、なんとか中に
 入って、ぶどうを食べてやろうと企んでいました。

 しかし、ぶどう園のまわりには柵があって、もぐり込むことができ
 ません。

■そこで、キツネは三日間断食をして体を細らせ、やっとのことで柵
 の間を潜り抜けることに成功しました。

■ぶどう園に入ったキツネは思い通りに腹一杯ぶどうを食べてから、
 ぶどう園を抜け出そうとしました。

 しかし、満腹になった腹がつかえて柵を潜り抜けることができませ
 ん。

■そこで、キツネはやむを得ず、また三日間断食をして、体を細くし
 てからやっと抜け出すことができました。

 そのとき、キツネはこう言いました。

 「結局、腹具合は入ったときと出るときと同じだったなあ」


■さて、

□□□  今日の「ちょっと一言」です。  □□□

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【 人は裸で生まれ、裸で死ぬ  】
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■人生も、上のキツネの寓話と同じです。

 "オギャー"と裸で生まれてきて、死ぬときもまた同じ裸で死んで
 いくことになります。
 
 これは真理です。

■人は、死ぬときに家族や友人知人、お金、善行をこの世に残してい
 きます。

 この内、家族や友人知人、お金は世間から預かったものだから、返
 して当然であって、あまり価値がありません。

■唯一その人が世の中に残して価値があるのは、その人が自ら行った
 善行だけのような気がします。

■皆さん、こんにちは。
 今日は、"井戸塀政治家"についてお話しします。

■今は聞かれることはありませんが、昔はよく「井戸塀政治家」とい
 う言葉が口にされていました。

■年配の方ならご存知だと思いますが、人のためや政治活動に自分の
 財産をつぎ込み、気がついたら、家には井戸と塀しか残っていない
 ことから、こう呼ばれていました。
 
■昔の政治家は、お金とは縁がなく、貧乏な人が多かったようです。 

■これに較べて、全員とはいいませんが、今の政治家は、政治ではな
 く権力とお金もうけに興味があるようです。

■日本の今の政治には金がかかりすぎることや、国民がお金をかけて
 派手な宣伝をする人物をもてはやす傾向にあることが原因のようで
 す。

■民主主義について、「その国の国民のレベル以上の政治はできない」
 と言われています。そのとおりで、政治家はその国の国民の中から
 その国の国民が自分たちのレベルで判断して選ぶのですから当然と
 言えば当然です。

■昔は、町会や村会議員は、ボランティアだったから、自分の利益を
 考える者は出てこなかったようです。彼らは皆のために犠牲になる
 との心構えができる人物でした。

■ですから、村長などは人望がなければなれないし、村長になっても
 人の役に立つだけで、自分は一生貧乏でした。

■この前、テレビの政治番組でこんな政治家のやり取りがありました。

 A議員曰く
 「国会議員は、あんな贅沢すぎる議員宿舎に、ほんの少しの家賃を
  支払うだけで住むことができる。議員宿舎は廃止すべきだ」

 これに対して
 B議員曰く
 「お金持ちしか政治家になれないのは困る。議員宿舎の優遇は、お
  金持ちでない人でも政治家になれるようにするための施策である」
 
■皆さんは、どう思われますか。私は、議員を優遇するよりも選挙に
 お金がかからないようにするのが、お金持ちでなくても議員になれ
 る唯一の施策だと思います。

■私は、物事を決める立場にある偉い人は、決して自分が得をするよ
 うな決め方をしてはだめだと思っています。

 直接そのことに文句をいう人が少ないので、表面に出てきませんが
 話がまとまらないのは、結局、決めた人が得をしていることが原因
 であることが多いのです。


■さて、

□□□  今日の「ちょっと一言」です。  □□□

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【 皆を動かすのは利己心のない井戸塀政治家である  】
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■土光敏夫氏が著書「日々に新た」PHP文庫の中でこんなことを書
 かれています。

 あるとき臨時行政改革推進審議会の事務局をやられていた方の奥さ
 んが、そのご主人に向かって

 「どうして自分の月給を減らすために、夜遅くまで頑張るのか」

 と冷やかしたそうです。

■このような人が決めたことには、皆は納得して従うのではないでし
 ょうか。

■皆さん、こんにちは。
 今日は、"一台のレコードプレーヤ"についてお話しします。

■私は大学生時代にアメリカンフットボールをやっていました。

 入学した当時は創部間もない同好会でしたが、私が3回生の秋に
 関西学生の一部リーグに昇格しました。

 事件はその翌年、私が4回生の夏に起こりました。 

■当時私は高校でのフットボール経験者であったこともあり、ディ
 フェンスバックのポジションリーダーを務めていました。
 
■ある夏の練習での出来事です。
 
 炎天下での練習が何日も続き、そろそろ皆の疲れがピークに達し
 ていました。
 
■そんなある日、練習に来てみると、2回生のTと4期生のSが練習
 に顔を出していません。

 Sは、福井県の出身で下宿をしており、休講の時など私はよくその
 下宿に転がり込んで、一緒にS自慢のレコードプレーヤーでレコー
 ドを聞きながらコーヒーを飲んでいた仲でした。

■私は、他の者にTとSが練習を休むことを聞いているか確認しまし
 たが、誰も聞いていません。

■無断で練習を休んだのです。

 このことを私は許せませんでした。これがきっかけとなって、皆
 が雪崩的に練習を休む危険性があるからです。

■翌日の練習にはTとSが顔を出していましたので、練習が終わると
 すぐ、皆を集めて私はこう言いました。

 「二人ともなぜ、無断で練習を休んだんや。理由をゆうてみい」
 
■二人は返事をせずに、だまって下を向いているだけでした。

 「そうか。理由はないねんな」

■私は、そう言い終わると、二人を順番に殴り倒しました。

 けじめだと考えていたからです。できれば仲のよい同級生を殴り
 たくはありませんでしたが、下級生だけを殴るわけにはいかず、
 仕方ありません。

■同級生のSは、じっと黙って下を向いていました。

■この事件の後で、部内は騒然としました。

 「部員を、それも同級生まで殴るとはやり過ぎだ」

 と。

■私学の運動部と違って、しごきなど経験のない部員から一斉に批
 判を浴びました。

■やがて、秋のシーズンが終わり、4回生は引退しました。

 そして、Sは、すぐに福井県に帰ることになりました。

■Sから福井県に帰る日を知らされていた私は、当日、下宿にいって
 挨拶をしようと思っていたのですが、あいにく急用ができて、Sの
 下宿に着いたときには、正午を過ぎていました。

■下宿に着いて、ベルを押しても、返事がありません。まさかと思
 って、玄関を開けようとすると鍵がかかっていました。

 「しまった。遅かったか」

■そう思って、愕然としていると、隣のおばさんがやってきました。

 「岩崎さんですか」

 「はい、そうですが」

 「S君は、今まで待っていたんやけど、汽車の時間があるからと出
  て行ってしもうたわ」 

■私が、がっかりとして帰ろうとすると

 「ちょっと待っといて。S君から預かり物があるんよ。岩崎が欲し
  がっていたから、来たら渡してほしいというて」

 そう言うとおばさんは、一台のレコードプレーヤーを持って出て
 きて、私に渡してくれた。

 その後Sとは会っていないが、そのプレーヤーは、25年経った今
 でも、私の宝ものである。

■さて、

□□□  今日の「ちょっと一言」です。  □□□

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【 言葉は交わさずとも、気持ちの通じる瞬間がある  】
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■私は、あの事件以来、チームのため、自分のために友達を犠牲に
 したのではないかと考えることがありました。
 
■でも、一台のレコードプレーヤーがその悩みを吹き飛ばしてくれ
 ました。

■そして、あの阪神淡路大震災のときにも、一番に安否確認の電話
 をくれたのはSでした。

■皆さん、こんにちは。
 今日は、"仕事とお金の関係"についてお話しします。

■もう、20年くらい前のことですが、新聞だったか、雑誌だったか
 出所は忘れましたが、今でも記憶に残っている記事に私は出会いま
 した。

 ちょうどそのときは、働きだして4~5年が経っており、仕事にも
 ある程度慣れてきて、働くことの意味をぼんやりと考え始めたころ
 です。

■私が目にしたその記事にはこう書かれていました。
 
■漁業で栄えるある町に、大手企業の工場が進出してきました。その
 おかげで町は賑わいましたが、工場が進出して2~3年経ったとき
 に、その工場が、有毒な廃液を海に垂れ流していることが判明した
 のです。
 
■これを知った、付近の漁師は工場に怒鳴り込んでこう言いました。

 「おたくの廃液のおかげで、魚が皆死んでしまった。このままでは
  俺たちは生きていけない。子供や孫の将来も含めて生活保障をし
  てほしい」

■この事件は、マスコミでも大々的に報道され、加害者である企業は、
 漁師に十分な生活ができるだけの金銭を孫の代までに渡り毎月給料
 として支払うことを約束しました。

■これにより、漁師たちは、働かずして十分な生活を保障される身に
 なったのです。

■最初のうちは、漁師たちは、毎晩のように飲んでは騒ぎ、騒いでは
 飲むという、ひともうらやむ生活を続けていました。

 俺たちは、一生遊んで暮らせる。

 でも、遊びを続けるうちに、だんだんとやることがなくなってきま
 した。

■やがて漁師たちは、何ともいえないむなしさに襲われるようになっ
 てしまったのです。

 将来の生活に何の不安もない。でも、今の生活には何か足らないと。

■そんなときに、漁師の一人が、昼ごはんを食べながら、テレビを見
 ていました。

 そのテレビには、偶然にも市場から運ばれた新鮮な魚を食べて喜ぶ
 都会のおじいさんの姿が、生き生きと写し出されていたのです。 

■それを見た漁師は、思わず叫びました。

 「俺たちの仕事は、これだ。お客さんに新鮮な魚を食べてもらって
  おいしいと喜んでもらうのが、一番の幸せだった。俺たちの仕事
  は魚を捕まえてお客さんに喜んでもらうことだ」

 「何も金だけのために魚を獲っていたのではない」

■漁師たちは、やっと気付きました。
 
 そして何年もかかって自分たちの手で汚れた海をきれいにし、やが
 て、漁業を再開しました。

■さて、

□□□  今日の「ちょっと一言」です。  □□□

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【 仕事には全て、金以外の大きな価値がある  】
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■金だけのために仕事をする。

 確かにやりたい仕事が他にあり、一時的に生活するためにそうする
 こともあると思います。

■また、ぎりぎりの生活のために、やりたくない仕事をせざるを得な
 いこともあるでしょう。

■でも、"今やっている仕事は少なくとも、誰かの役にたっている"
 これは、間違いのない事実です。

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