2011年4月アーカイブ

■皆さん、こんにちは。
 今日は、"人の本当の偉さ、値打ちはいつ分かるか "についてお
 話しします。

■人の本当の偉さはいつ分かるのでしょうか。

 私は、その人が現役を退いた後、そして死んだ後に分かるものだと
 思っています。
 

■例えば、ある会社に「自分のことしか考えていない」と評判の重役
 さんがいたとします。

 そんな重役さんでも、その重役さんの親族が亡くなられたときには、

 きっと多くの人がお葬式に参列されると思います。
 
 なぜなら、その時点では、その重役さんは他人に影響力を持ってい
 るからです。

 
■その重役さんを本当は

 「自分の出世ばかりを考えているいやなやつだ」
 
 と思っている人もお葬式に出席します。

 「あのとき顔を見なかったなあ」

 なんて言われると、大変なことになるという損得勘定が働くからで
 す。

 また、

 「あのときは、来てくれてありがとう。仕事をやるよ」

 という見返りを期待しているからです。


■でも、その重役さんが現役を退いた後はどうでしょうか。

 きっと、周りに人は集まらないと思います。 

 「あのとき顔を見なかったなあ」

 と言われても一向に困らないからです。

 仕事をもらえる見返りも期待できないからです。
 
 
■こう考えると、何のしがらみもない状態でしか、その人の人間的な
 偉さは分からないことになります。 

 そのことが分かっているから、影響力のある今の地位に固執する。

 そんな重役さんもいるのではないでしょうか。

 あの豊臣秀吉でさえも、最後は地位と権力に固執して醜い人生を
 送っています。
 


さて、

□□□  今日の「ちょっと一言」です。  □□□

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【 死んだ後でしか本当の人の偉さや値打ちは分からない 】
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■「ユダヤ5000年の知恵(ラビ・M・トケイヤー著)講談社文
 庫」に、こんな言葉があります。

      ▽ 

 病人を見舞うと、その病人は60分の1だけ病状がよくなる。だ
 が、60人が一度に行っても病人は全快しない。

 死んだ人の墓を訪れるのが、いちばん高尚な行為である。

 病気の見舞いは、治ればその人の感謝を受けられるが、死んだ人
 は別に何もお礼を言わない。

 感謝をあてにしない行為こそ美しいのである。

      △


■なるほど、死んだ人の墓を訪れる人には見返りを期待する人はい
 ません。

 逆に言えば、見返りが無くても訪れてもらうことができる。そう
 いうことが人の偉さ、値打ちだということになります。


 「死んだ後でしか本当の人の偉さや値打ちは分からない」

 こう考えれば、人の生き方も変ってくると思います。

 ■皆さん、こんにちは。
 今日は、"偉そうな人 "についてお話しします。

■その前に私ごとを少しだけ書かせてください。

 昨日弁理士の2次試験の合格発表がありました。

 実は私は、サラリーマンを辞めた翌年の平成14年の5月から、
 起業のかたわら弁理士試験に挑戦しています。

 弁理士というのは、知的財産を専門に扱う士業です。

 これからは心、知恵の時代だという確信が私にあったからです。

 しかし、まだ努力が足りないようです。努力した分しか結果は返
 
 ってきませんでした。努力を続けます。
 

■話を本題に戻します。

 皆さんは「ヤマアラシ」という動物をよくご存知だと思います。

 ヤマアラシは体を覆う強力な棘を持っています。
  
 そして、敵が来ると棘を立てて威かくし、しっぽを振って不気味
 な音をたてます。さらには地面を踏み鳴らして威嚇します。

 長めの棘には、体を大きく見せる効果もあるようです。

 これは、「ヤマアラシ」が強い肉食獣から自分の弱い身を守るた
 めに持つことのできた仕組みです。

 もし、「ヤマアラシ」が大きな体を持つ地上最強の肉食獣だった
 らこんなことをしなくてもいいのです。

■人間の社会にも「ヤマアラシ」のような人物を多く見かけます。

 いつも自分の自慢話ばかりをする人

 人の話を聞くときに、上から見下すような態度をとる人

 権力や役職にものを言わせて、尊大に振舞う人

 名刺の肩書きがなければものが言えない人

■この人たちは、実は「自分に自信のない人たち」なのです。

 その自信のなさを見抜かれないようにするために、尊大に振舞う
 傾向にあります。

 本当に自分に自信のある人は、権力、役職にかかわらず誰にも普
 通に接しています。

 本質を見抜かれるのを恐れる必要がないからです。

 昔から「実るほど頭を垂れる稲穂かな」といわれていますが

 本当に立派な人物に出会うと、このことが実感できます。 
 

■さて、

□□□  今日の「ちょっと一言」です。  □□□

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【 偉そうにする人は、かわいそうな人 】
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■私は、昔から尊大な態度の人に出会う度に

 「かわいそうに、よほど自信がないんやな」

 と思ってしまいます。

 そして、「自分はこうはならないでおこう」

 とその度に確認をしています。

■もっとも、初対面の人を意識的に攻撃して、2回目は妙に優しく
 
 して手なづけるという、テクニックを使っている人は別ですが。

■皆さんも、相手に尊大な態度をとられて、腹をたてて、いやな気
 分になるよりも、こう思えばいいのです。

 「ヤマアラシ」のように、「相手はかわいそう」なのです。

■皆さん、こんにちは。
 今日は、"相手を動かすコツ "についてお話しします。

■昨夜、友人2人と仕事の打ち合わせをしていました。
 午後の1時から5時まできっちり4時間の打ち合わせでした。
 
 その打ち合わせが終わり、夕飯でも食べて帰ろうということにな
 って、居酒屋に入りました。

 そこでの出来事です。

■一人の友人が言いました。
 
 「うちの父は野菜を食べないのですが、どうしたら食べるように
  なるのでしょうかねえ」

 もう一人の友人がすぐに答えました。

 「うちの親父は、糖尿で酒を飲むとだめなんや。実家に帰ったと
  きには皆で酒を飲むことになるんやけど、そのときに親父にこ
  ういうんや

  『もう、年やから、別に病気のことなんか気にせんでもええや
  んな。どんどん、酒を飲んだらええ』

  そう言って、酒を勧めると

  『いや、わしは飲まん』

  と絶対に飲まへんで」

  彼のお父さんは、がんこ者で有名らしいのですが、

■これが、もし

  「病気のことがあるから、酒は絶対に飲んだらあかんで」

  と皆の前で言っていたら、きっと

  「何をいうてんねん。病気なんか関係ない。わしは好きな酒を
   好きなだけ飲むんや」

  意地になった返事が返ってきたでしょう。

■私たちは、自分が決めたことならあまり抵抗を感じないで自分の
 考えを変える場合はよくあります。

 しかし、人から誤りを指摘されると、腹を立てて意地を張ります。
 
■これは、私たちが重視しているのは、自分の信念そのものではな
 く、自尊心だからです。

 それで、その自尊心が傷つけられようとする場面では、何とか口
 実を見つけ出して、元の信念にしがみつこうとするのです。

■ということは、自尊心を傷つけないようにすれば、相手はいうこ
 とを聞いてくれるということです。
 
 相手に自ら動きたくなる気持ちを起こさせること、言い方を変え
 れば自らの意思で動いたと思わせること。

 これが、相手を動かす秘訣です。
 

■さて、

□□□  今日の「ちょっと一言」です。  □□□

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【 相手を動かす秘訣は、自らの意思で動いたように思わすこと 】
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■こんな言葉があります。

 「相手を説得したければ、相手に気づかれないようにやれ」

 「教えないふりをして相手に教え、相手が知らないことは、忘れ
  ているのだと言ってやる」

 「人にものを教えることはできない。自ら気づく手助けができる
  だけだ」

■そういうと、私もよく人と話すときに

 「あなたもご存知のように、・・・・・」

 というフレーズを使います。

  こう言われると、相手はそのことを事前に知っていなくても、
  自分で知ったような感覚になるようです。 

 ■皆さん、こんにちは。
 今日は、"給料"についてお話しします。

■誰から給料をもらっているのか。
 サラリーマンや公務員で、いわゆる内向きの仕事をやっている人
 がよく勘違いすることです。

■昔、「お客様は神様です」という言葉が流行したことがあります
 が、まさに、お客様から給料をいただいているのです。

 ところが、内向きの仕事をしていて、お客様と直接接触がない人
 たちは

 「給料はお客様からいただいている」

 ことは理論的には分っていても実感としてはありません。

■やはり、サラリーマンなら「会社からもらっている」公務員なら
 「天からもらっている」と感じてしまうことが多いと思います。

■こんな話があります。

 ある自動車メーカのA課長は、工場の車体製造部署の責任者でし
 た。

 最近会社の自動車の売れ行きが悪くA課長の給料も20パーセン
 トカットされたばかりでした。

 A課長は、そのことを不満に思い、

 「会社はなぜこんなによく働いて工場の係員の立場もよく考えて
  いる俺の給料を下げるのか」
 と周りの者に愚痴をこぼしていました。

■そんな時にA課長の部署に営業部門からの依頼ということで、車
 体の内装を一部変更できないかとの相談がありました。 

 その内装変更は、営業部門が聞いたお客様の意見の中で多いもの
 を反映させたものだ、とのことでした。

■これに対するA課長の回答はこうでした。
 
 「この内装変更をすると、製造過程が複雑になり、作業員が困る。
  そして残業も増えるから、受けることはできない」

 結局、この内装変更は実現しませんでした。

■それから3年が経過したとき、会社のリストラを反映してA課長
 はある営業所の所長になっていました。

 そこでのA課長の給料は、店の売り上げに連動する歩合性でした。

 A課長は、一台でも多く車を売るべく、必死になってお客様を訪
 問しました。

 そして契約が取れるたびに「ありがとうございます」と本心から
 言えるようになっていました。

■お客様から、給料をいただいていることが実感できる瞬間です。 
 もちろん、A課長はがんばったので給料も増えました。

■そんなときに、一人の上品なご婦人のお客様が、A課長の営業所
 に入ってこられました。

 そのお客様は、ショールームに展示してある1台の車を熱心に見
 ておられました。

 これを知ったA課長はそのお客様に声をかけました。
 
 「お客様、この車をお気に入りのご様子ですが、何かご要望はご
  ざいますか」

 「ええ、広告で外観はとても気に入っていましたので、今日は内
  装を見させてもらいに来ました。もう少し、内装に質感があれ
  ばすぐにでも買うのですがねえ」

 思わずA課長は答えてしまいました。

 「工場に内装の質感を高めるようにすぐに提案します」


■さて、

□□□  今日の「ちょっと一言」です。  □□□

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【 お客様を満足させているから給料がある 】
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■私にも経験がありますが、内向きの人事や経理のような仕事をや
 っているとついつい、自分の給料はどこから来ているかを考えな
 くなります。

 会社の売り上げが減っても、自分の給料だけは確保できると考え
 てしまう。

 公務員にしても、世間が不況で税金が減っても自分の給料は天か
 らの授かりものだと勘違いしてしまう。


 私も、営業の現場でお客様から、直接お金をいただいて目が覚め
 ました。

■たまには、自分の給料を
 
 サラーマンなら直接お客様から

 公務員なら直接国民、市民から

 現金で受け取る体験をしてみるのもいいと思います。 

■皆さん、こんにちは。
 今日は、"組織の上下"についてお話しします。

■今でこそ、フラットな組織の良さを取り入れる企業が多くなりま
 したが私がサラリーマンをしていたころは、ピラミッド組織が常
 識でした。

 ピラミッド組織での私の体験談です。

■私がある時、ある会社で、係長をしていた時のことです。

 私がいつものように自分の机に座って仕事をしていると、電話が
 鳴りました。

 「はい、システム係です」

 電話に出た私に

 「君に頼みたいことがある」
 
 電話の向こうから聞こえる声は、常務取締役のAさんでした。

 「はい、何でしょうか」

 こう答えた私に

 「全社を統合した光通信回線の計画がある。そこで君の意見を聞
  かせてほしい」

 とのことです。

 「分かりました」

 私は、それからしばらく電話で常務と話し、自分の意見を伝えま
 した。

■その場では言いませんでしたが、常務の行動にどうも納得がいき
 ませんでした。

 (我社では日頃、組織を大切にして、指示命令系統を守りなさい
  と言っているわりに、常務が直接、係長に電話していいものな
  のか)

 (課長や部長の立場はどうなるのか。これなら課長や部長は不要
  になる)

 当時私の係には30人の部下がいましたので、私も指示命令系統に
 は敏感になっていました。
 
 でもそのときは、さすがに電話で文句をいうこともできずに、流
 されてしまい、数ヶ月が経過しました。


■やがて、その年の12月の初めに課で忘年会がもたれ、偶然にもそ
 の席に常務取締役のAさんが招待されていました。

 宴会が始まって1時間くらい経ったときに、酔いも手伝って、い
 つの間にか私は常務の席の横に座っていました。

 そして

 「常務、この前私に電話で、光通信回線の意見を聞かれましたが、
  あれは、組織を無視された行動でまずいんじゃないですか」

 「あれでは、部長も課長もいらないじゃないですか」

 私は、つい調子に乗って偉そうなことを言ってしまったのです。

■(しまった)

 と思ったときにはもう遅く、常務は口を開いていました。

 「そうか。それは申し訳ないことをした」

 「君もその立場になると分かると思うが、直属の部下とだけコミ
  ュニケーションを図っていたのでは、その部署の実態はつかめ
  ないものだ」

 「決して直属の部下が悪く、私が裸の王様になっているというこ
  とではないが、たまには、直接職場の息を感じることが大切だ
  なあ」

 「もちろん、君に電話して聞いたことは、部長と課長にはちゃん
  と話しているよ。だから部長や課長は君の言ったことを知って
  いるよ」

 「それに、ぼくは君の意見を聞いただけで直接指示命令はしてい
  ないよ。これをすると君のいうとおりなってしまうから、だめ
  だね」

 常務のAさんは、ニッコリと笑って、若造の相手をしてくれまし
 た。

 

■さて、

□□□  今日の「ちょっと一言」です。  □□□

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【 組織では上の人ほど、下の人との直接接触が重要である 】
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■私の失敗談でした。

 確かに、間接的に意見を聞くのと、直接意見を聞くのとでは、微
 妙なニュアンスを含む課題ほど、伝わる結果は変わってきます。

 これは伝言ゲームをやれば分かることですね。

■上の人が中間を飛ばして直接下の人と接触することは重要なよう
 です。
 
 但し、知り得た情報は中間の人にも伝えてやる配慮が必要です。 

 ■皆さん、こんにちは。
 今日は、"責任のとり方"についてお話しします。

■人生にはいろいろな出来事があります。
 
 自分の思ったとおりになることもあれば、ならないこともありま
 す。

 思ったとおりにならないことの方が多いかもしれません。

■こんな話があります。
 
 Aさんは、野球で甲子園に出場経験がありました。
 
 その経験を見込まれて、片田舎の高校の野球部監督にヘッドハン
 ティングされました。

 その高校の野球部は、県大会ではいつも初戦敗退のオンボロチー
 ムでした。

 ところが、Aさんが就任するや、その野球部はめきめきと実力を
 つけていきました。

■皆を前にしてAさんはこう言いました。

 「皆で甲子園に行くのが俺の夢だ。俺についてこい」

 そして、2年後にはついに県大会の決勝に出場することになった
 のです。

■いよいよ、決勝の当日になりました。

 試合は均衡して、8回を終わったところで2対1で負けていまし
 た。

 9回は先行の相手高が三者凡退に終わり、最後の攻撃です。

■1死ランナー3塁で、4番のB君に打順が回ってきました。

 ここで、監督のAさんは、B君にスクイズバントを要求しました。

■B君は緊張して、打席に立ちました。実はB君はあまりバントの
 練習をしたことがなかったのです。

 ピッチャーが力をふりしぼってボールを投げました。

 投げたボールが勢いよくB君に迫ってきました。

 B君は緊張しながらも何とかバットをボールに当てました。

 が、何と、B君の打ったボールはフラフラと宙に浮き上がってし
 まい、ピッチャーのグラブにスッポリと収まってしまいました。

 大きな歓声が湧き上ると同時に、3塁を飛び出していたランナー
 は3塁~本塁間で挟殺され、試合終了となりました。

■そして、自分の夢が絶たれたAさんは、試合終了後うなだれて帰
 ってきたB君に、つい
 「お前のせいや」と言ってしまったのです。

 その後Aさんは、負けた責任をとると言って、チームを去ってい
 ます。

■皆さんはどう思われますか。

 Aさんは、バントを失敗したという事実ではなく、今まで一所懸
 命に指導してきた「甲子園に出る」という自分の夢が破れて、悔
 しいという感情に支配されてしまいました。

 それでその感情に反応してB君に「おまえのせいや」と言ってし
 まったのです。 

 つまり、「バントを失敗した」という状況に反応しているのでは
 なく、夢が破れた現在の状況に関する自分の感情に反応している
 のです。

 これはAさんの感情であって、Aさんの感情は誰か他の人のせい
 ではありません。

 人のよって湧き上る感情は違います。

■そのときのAさんの感情を思えば同情できるのですが、こんな場
 合どうすればいいのでしょうか。

 冷静になって考えれば分かることですが、どうやっても、起こっ
 てしまった現実は変えることができません。
 
 これは真理です。
 
 しかし、現実を素直に受け入れれば、未来は変えることができる
 かも分かりません。


■さて、

□□□  今日の「ちょっと一言」です。  □□□

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【責任をとるとは、現実をあるがままに受け入れて未来を変えること】
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■上の場合は、Aさんは、自分が指示したとおりにならなかったこ
 とに腹を立てて、監督を辞めるといい出しています。

 でも、負けた事実は変わりません。そして、負けたのは、バント
 を失敗したB君のせいではないのです。

■バントの練習が十分でなかったから、負けた。この事実があるだ
 けです。

 Aさんが責任をとるとは、「バントの練習が足りなかった」この
 事実を素直に受け入れて、来年はバントの上手なチームにするこ
 と、これだけです。

 
■責任をとるとは、自分自身を含めて、誰かや何かを責めることで
 はなく、その現実をあるがままに受け入れた上で、未来を築いて
 いくことだと思います。

 ■皆さん、こんにちは。
 今日は、"予算の確保"についてお話しします。

■以前に、リーダースダイジェストに載っていた、バスの運転手さ
 んのお話を紹介させていただきました。

 バスに乗ってきた妊婦に誰も席を譲らないので、バスの運転手さ
 んが自分の運転席を譲ったために、バスが発車できなくなってし
 まった話です。

 バスが動かなくなり自分が困ると、お客さんが一斉に妊婦に席を
 譲り始めたという、人間の身勝手をうまく表現した話でした。 

■これに似た出来事は、日常の会社の業務の中にもあります。

 例えばこんな話です。
 
■ある電力会社で送電状況の管理をするために大掛かりなコンピュ
 ータ設備が導入されることになりました。

 そのコンピュータの維持管理はシステム保全係に任されましたが、
 コンピュータ設備の設置とコンピュータ室の増設は設備投資を担
 当する工事係がやることになりました。

■工事係は、導入するコンピュータの台数、電源設備の容量やコン
 ピュータ間を接続するケーブル等を詳細に検討して、工事費用を
 計算しました。

 すると、工事費用が、当初予算を大きく超えてしまうことが分か
 りました。

 このままでは、工事ができない。

■困った工事係は、工事費を節減するためにコンピュータシステム
 に詳しいシステム保全係に、良い知恵がないか相談しました。

 しかし、システム保全係は自分たちの仕事が忙しいという理由で
 真剣に工事費の節減策を考えてくれませんでした。

■そこで工事係は仕方なく、コンピュータに直接関係のないコンピ
 ュータ室の床材や壁材を安価な物に変える等設計変更を行い、苦
 労の結果なんとか予算内の工事費に収めることができました。
 
 そして工事稟議は無事に社内審査を通過して、社長決済が下り、
 施工業者も入札で決まり、以後はとんとん拍子で工事が開始され
 ました。

■ところが、工事を開始して一週間が経過した頃に事件が起こりま
 した。

 今でこそ、コンピュータ室には動作安定化のためエアコン完備が
 常識となっていますが、この工事をやっていた頃には、その常識
 がありませんでした。
 
■何と、コンピュータのメーカが、エアコン完備の部屋でないと動
 作を保障しないと言っていることが発覚したのです。

 この事実を聞いて、大いに慌てたのは、コンピュータを維持管理
 することになるシステム保全係です。
 
 コンピュータの動作が保障されないとなると、いつ故障対応で呼
 び出されるか分からず、夜も安心して眠ることができないからで
 す。

■慌てたシステム管理係は、工事係にコンピュータ室にエアコンも
 設備するように申し入れをしました。

 が、返ってきた答えはこうでした。

 「そんな予算はとっていない。エアコンを付ける金はない」

■よくある話です。

 エアコンがなくても、工事係は一向に困らないからです。


 本当は、エアコンがないために、コンピュータがよく故障して、
 電気がストップすると、お客様の信用をなくし、会社の売り上げ
 が減って、やがて自分の給料が減ることになるのですが、普通は
 そんなことまで考えません。


 もし、いつもそこまで考えている社員ばかりなら、その会社は大
 成功するでしょう。
 
■結果的に困ったシステム管理係は、直接経理部に談判してエアコ
 ン設置の追加予算を認めてもらい、現在に至っています。

 

■さて、

□□□  今日の「ちょっと一言」です。  □□□

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【 それが無ければ困るところが予算を計上すべし  】
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■私はサラリーマン時代に親会社の先輩からこう言われたことを覚
 えています。

 「本当にしたいことがあれば、絶対に自分たちで予算どりをする
  べきだ。

 「例えその予算を執行するのが他の部署であっても、予算はそれ
  を実現したい部署、それがなければ困る部署がとるべきだ」

 「そうじゃないとどこも本気で予算どりをしない」

 「もっとも、本当はしたくないために、予算がとれないことを逃
  げ道にするのなら、他の部署に予算処置を任せる方がいいとき
  もあるが」

 その先輩は、今上場企業の社長をされています。


■困るところが予算をとる。逆にいうと困らなければ誰も本気で予
 算どりはしない。「困らなければ席を譲らない」先のバスの乗客
 と似たような話ですね。 
 
 
 
 PS 実際、他の部署から「君の部署から予算要求をしてもらう
    が、その予算は本気でとらないでほしい」と頼まれたこと
    があります。

 ■皆さん、こんにちは。
 今日は、"学生と組織の仕事"についてお話しします。

■学生と社会人の最も大きな違いは何でしょうか。

 私は、組織との関わりを持たなくても済むか、そうでないかだと考
  えています。

 学生時代には、朝起きて学校に行き、真面目に授業を聞いて、掃除
 などの自分に与えられた最低限の義務を果たせば、ほとんど机に座
 ったまま、個人で過ごすことができます。

■学校では、まず「団体で協力して、これこれをやり遂げなさい」と
 いうような課題は与えられません。

 ですから、本人がその気になれば、朝学校に行って、家に帰ってく
 るまで誰とも会話しないということも可能です。

 本当はそうではないのですが、自分一人だけで生活が完結している
 ように見えてしまいますし、表面的にもそういう生活になります。

■要するに、組織の中で他人との関わりを持たなくても生活ができて
 しまうのです。

 ですから、社会人になった時に困ったっことが起きます。


 組織の一員としての自分の位置や役割が認識できないのです。


■こんな話があります。


  ある会社で新人研修を終えたばかりのA君がある係に配属されま
 した。

 この係は、自分たちの工場の生産設備の修繕工事を担当する係でし
 た。

 この係にはA君の他に2人の先輩社員がいました。

■A君が新しく配属になったので、係長は仕事の分担会議をしました。

 そして、その分担会議において、A君には4つの修繕工事が、他の
 先輩社員にも同じく夫々4つの修繕工事が割り当てられました。

 それからしばらくたったある日、その工事の発注仕様を検討してい
 たA君は、先輩社員にこう言いました。

 「なぜ、ぼくや先輩がたくさんの工事を割り当てられて、忙しそう
  にしているのに、係長や課長は工事を一つも担当しないのですか。
  おまけに、席に座っていないことが多いし。不公平だと思いませ
  んか」

 A君は、真顔で工事の分担が平等でないことや上司が席に座ってい
 ないことが多いことに対する不満を漏らしました。

 この話を聞いた先輩社員は苦笑いをしました。


■社会人経験者は、お分かりですが、組織では仕事を進めていく上で
 役割分担があります。

 もちろん、人間の偉さとは無関係ですが、役割分担がないと組織は
 機能しません。

■これが、組織に属した経験がない人には理解できません。

 ですから、目先の修繕工事の割り当てだけが仕事の全てだと思って
 しまいます。

■本当は、係長には係長にしかできない、他の係との交渉とか、課内
 での予算折衝、係員間の負荷の調整とかの仕事があります。

 また課長には課長の、本社との折衝や発注業者の調整、係員の人事
 等の仕事があります。

■これらの仕事はA君の担当した工事のように必ずしも目に見えて形
 になるものではありません。

 そこが、組織に属したことのない人には理解できないのです。

 
■A君は仕事が終わって仲間と一杯飲んだ後の帰り道で

 「係長のぼけ。自分は何も仕事をしないで俺ばっかりに仕事を押し
  付けやがって」

 と喚いて、道端にあったドラムカンを何回も蹴ったそうです。

 当たられたドラムカンはぼこぼこになりました。


■この事件から何年か後にA君にも後輩ができました。

 そのときにA君はこのドラムカンのことを係長に話しています。

 「お恥ずかしい話ですが、新入社員当時、係長の仕事が理解できず
  にドラムカンを蹴り飛ばしてうさを晴らしていました。今考える
  と馬鹿みたいな話です」

 「今度の新入社員には、組織にはそれぞれ役割分担があり、目に見
  えない仕事も重要なことをちゃんと説明しておきます。また蹴ら
  れると、あのドラムカンがかわいそうですから」


■さて、

□□□  今日の「ちょっと一言」です。  □□□

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【 学生時代から組織活動に参加すべし  】
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■私は経験上、学生時代に組織活動に積極的に関わっておくことが
 大切ではないかと思います。

 昔は、地域で子供会などの組織がありました。

 今の子供会は、半分以上大人が運営して、子供は用意された催し
 に参加するだけですが、昔の子供会は、全て子供が運営していま
 した。
 
 クリスマス会をやるとすれば、子供の会長が皆を集めて、司会は
 誰、プレゼントの買出しは誰、会計は誰、掃除と会場準備は誰と
 いうようにちゃんと役割分担を決めていました。

 おまけに、地域の大人の立場も考えて会議の結果を子供会担当の
 大人に報告していました。

■今、このような子供の組織活動が少なくなり残念です。

 社会人になって初めて組織活動を強制される。

 今の子供たちはかわいそうです。
 

 ■皆さん、こんにちは。
 今日は、"鳥の目"についてお話しします。

■お盆休みのため、しばらく配信を怠っておりました。申し訳あり
 ません。

■お盆も終わり夏も終わりに近づきつつあります。
 
 夏といえば、子供のころに床机の上に寝転んで、手にしたうちわ
 で顔を扇ぎながら夕涼みをしていたことを思い出します。

 若い方はご存知ないと思いますが、床机とは、長方形の木の板の
 四隅に脚を付けた台で、寅さんなんかの映画の中で、下町のおじ
 さんが将棋を楽しんでいるあの台です。

■私は、子供のころその床机を出して、その上に仰向けに寝転んで
 夜空の星を眺めるのが大好きでした。

 目の上に一面に広がる大空、そしてその中に光り輝く無数の星。

 何億光年という気の遠くなりそうな広がりの中で、今生きている
 自分が実感できる瞬間です。

■気持ちのよい夜風に吹かれながら、子供心にこんなことを考えて
 いました。

 「もし、あの星からこっちを眺めると、この地球もあの星のよう
  に大空の中で無数に光っている星の一つにしか見えないんや」

 「この俺なんかほんまにちっちゃいもんや」

■そう思うと、逆になぜか大きな気持ちになれたような気がしまし
 た。

 友達とけんかしたことが急にばかばかしくなってきたことを覚え
 ています。

■よく、社内会議でお客様をほっぽり出して自分の係の損得だけで
 議論をしていることがあります。

■ある製品開発の会議でこんな会話がありました。
 
 製造担当係長が言いました。 

 「今度の製品は、外形が複雑すぎる。もっと単純にしてもらわな
  いと作り難い」

 企画担当係長が言いました。
 
 「今度の製品で社内のデザイン賞を取りたい。外形は変えられな
  い」

 この会議の途中で、課長が怒鳴り出しました。

 「この会議は全て玄関ホールのテレビでお客様にお見せしている。
  覚悟してやれ」

 もちろん、そんなことはしていませんでしたが、お客様なしでは、
 会社自体成り立たないことをすっかりと忘れています。


■上の議論には客観性やお役様の視点がありません。そんな光景を
 外からお客様が見ていると、とても滑稽に見えることでしょう。


■皆さんは、「ドッグアイ」と「バードアイ」という言葉をご存知
 でしょうか。

 「ドッグアイ」は「犬の目」、「バードアイ」は「鳥の目」です。

 「ドッグアイ」では地上の低い位置から自分の周囲しか見えませ
 んが、「バードアイ」は空の高い位置から広い視野で全体を見渡
 すことができます。 


■さて、

□□□  今日の「ちょっと一言」です。  □□□

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【 行き詰ったらバードアイで見直す  】
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■会議で行き詰ったら、自分を会議場の遥か上空に連れて行き、そ
 こからその会議を眺めてみる。

 そうすると、今まで見えなかったものが見えてくる。自分のこだ
 わりがばかばかしくなる。

■会議でなくても、たまには、床机を出して夜風に吹かれながら、
 ぼんやりと夜空を眺めて見る。

 果てしなく広がる宇宙の大きさを感じて見るのもいいものです。

 きっと、自分が大きくなったことが感じられます。

 ■皆さん、こんにちは。
 今日は、"自分の弱さを認めること "についてお話しします。

■前回までは、ビジネスのお話しが中心でしたが、今回は、子育ての
 お話をします。

■扶桑社から出版されている「心に橋を架ける言葉」の中にこんなこ
 とが書かれています。
 
■自分の子どもに対して

 「なんでもっと誰それのようになれないの?」
 
 という母親は、自分の弱点を認めず、比較することで自分の親とし
 ての位置を保とうとしている。

 こういう母親は誰かに劣等感を持っている。

■そして母親は、その劣等感を隠し、比較することで子どもを自分の
 思うように動かそうとしている。

■でも、劣等感を隠し「私は立派だ」といいながら「あなたにこうな
 ってほしい」と言っても、子供は母親の現実を知っているから、母
 親のいうことを聞かない。

■本当は母親が

 「私には、こういう弱点があるのよ」と子どもに素直に言い
 「だから、そのためにもこうなってほしい」
 
 「私にはこういう弱点があるからこうしてね」
 と理由も付け加えればいいのです。

 これで子どもの気持ちもすっきりとします。

■もっとも母親に自信がないと、自分の弱点を言うのは難しいとは思
 いますが。

■さて、

□□□  今日の「ちょっと一言」です。  □□□

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【 人はお互いに弱点を認めることで相手のいうことをきく  】
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■これは、ビジネスの世界でも通用することです。

 上司が理由も説明せずに、頭ごなしに権力で

 「こうしろ」といっても
 
 おそらく部下は
 
 「はい」

 とは返事をするものの

 「自分もできないくせに」

 と全くやる気がないでしょう。

■もし、上司が

 「俺は若いときに君と同じような失敗をよくした。今でもこの仕事
  は苦手だ」
 
 「だから、君は今のうちにしっかりとこの仕事を身に付けなさい」

 と言えば、部下も納得して仕事に励むと思います。

 若い頃の私はいつも上司にそう言われて、うまく使われていました
 から。

 結局はビジネスの話題になってしまいました。

 ■皆さん、こんにちは。
 今日は、"人を動かすこと "についてお話しします。

■前回は、信用の大切さについてお話ししました。
 
 最近いろいろな調査や書物を見ていて、気付いたことが一つありま
 す。

 それは、人を動かすことのできる人、つまりリーダーになれる人に
 求められる資質についての記載です。

■私が見た調査や書物の中に一番多く出てくるリーダーに求められる
 資質は "相手の立場になることができる人" でした。
 
■そしてそのような人が相手から信頼も得ることができるようです。

 こんな話があります。

■ある会社で終業時間が近づいた時に、A課長のところにB部長から
 電話がかかってきました。

 A課長が電話に出ると、B部長は電話の向こうでこう言いました。
 「急なことで申し訳ないが、交渉中のお客様が明日本社に来られる
  ことになった。製品Xの今までの販売実績を明日の朝までにまと
  めてくれないか」
 

■これを聞いたA課長は、担当のC君を呼んでこう言いました。

 「部長から製品Xの販売実績を明日の朝までにまとめてほしいと言
  われた。我が課の名誉のために残業して、仕上げてくれ」

■C君はA課長の一方的な言い方に反論もできず、しぶしぶ残業をし
 ましたが、あることが気にかかり、仕事は全く進みませんでした。

 実は、C君の母親が3日前に病気で入院しており、今日は終業後病
 院に行って担当医から精密検査の結果説明を受ける日だったからで
 す。
 
■A課長は、C君の母親が入院したことはC君から報告を受けて知っ
 ていました。

 しかしA課長は、B部長に対する自分の立場しか考えていませんで
 した。

■結果的に、C君は徹夜をしましたが、朝までに仕事は終わりません
 でした。

■もし、A課長がC君の立場を考えていたらどうなったでしょうか。

 きっとこうなると思います。

■これを聞いたA課長は、担当のC君を呼んでこう言いました。

 「部長から製品Xの販売実績を明日の朝までにまとめてほしいと言
  われた。急なことで申し訳ないが、君しか頼めるやつはいない」

 「お母さんが入院されていることは知っている。今日何か用事があ
  るのなら遠慮せずに言ってほしい」
  
 これを聞いたC君はこう答えました。 
  
 「実は、今から病院へ母の精密検査の結果を聞きに行くことになっ
  ていますが、これは30分ほどで終わりますので、帰ってきてか
  ら、仕事を片付けさせてもらってよろしいでしょうか」

 「もちろんだとも。君が帰ってくるまでに私に出来ることがあれば
  やっておくから、遠慮しないで言ってくれ。こんなときに申し訳
  ない」

■その言葉を聞いて、C君はA課長に頼む仕事を言い残して急いで病
 院に行きました。

 そして再び会社に戻ってくると、安心したせいかばりばりと仕事を
 進め、その日のうちに仕上げてしまいました。

■さて、

□□□  今日の「ちょっと一言」です。  □□□

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【 相手の立場になってこそ人を動かせる  】
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■『本田宗一郎の「人の心を買う術」』プレジデント社の中で
 本田宗一郎さんはこう言われています。

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 人を動かすことのできる人は、他人の気持ちになることのできる人
 である。

 相手が少人数でも、あるいは多くの人々であっても、その人たちの
 気持ちになり得る人でなければならない。

 その代わり、他人の気持ちになれる人というのは自分が悩む。自分
 が悩まない人は、他人を動かすことができない。私はそう思ってい
 る。

 自分が悩んだことのない人は、まず、人を動かすことはできない。
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 上のお話でも、例えA課長がC君の母親の入院のことを失念してい
 
 て悪気がなかったとしても、C君の立場を考えていない以上、C君
 
 は「入院しているのを知っていて無理を言っている」としか思わな
 
 いでしょう。

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